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medical praxis - web版 医学ノート - 国家試験対策

学問の上で大いに忌むべきは、したり止めたりである。したり止めたりであれば、ついに成就することはない。

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典拠:カラー図解 人体の正常構造と機能 全10巻縮刷版

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臓器別に編集した全10巻のシリーズを一冊にまとめた縮刷版。解剖学・生理学の高度な内容をやさしく学べる教科書として評判を呼び、シリーズの総発行部数は15万部にのぼります。第2版では、初版の読みやすさを維持しつつ、最新の知見に基づいて内容を更新しました。

第1章 呼吸器
 
呼吸器系の概観
酸素は体内に貯蔵できないので,絶えず供給し続けなければならない

鼻 腔
鼻腔は8つの骨と軟骨で囲まれている
鼻腔は鼻中隔と鼻甲介で仕切られ,粘膜が発達している
4つの副鼻腔が鼻腔に開口している

喉 頭
多くの軟骨が靱帯・筋で連結され,喉頭を形づくる
6種の内喉頭筋が軟骨を動かすことにより,発声を調節する

気管・気管支
気管(支)は2分岐を繰り返しつつ次第に細くなり,肺胞に至る
気管支の枝はそれぞれ一定の領域に分布して,肺葉と肺区域を形づくる
気道内腔を覆う粘液は,線毛の働きで口側へ向かって流れている

呼吸器系の発生
下気道は食道と同じく前腸に由来する
肺の発生過程は,外分泌腺の発生過程によく似ている

肺胞とガス交換
肺胞の総表面積はテニスコートの半分ほどの広さを持つ
肺胞上皮はきわめて薄く,ここをガスが拡散してゆく
血管内皮細胞と肺胞上皮細胞を隔てて,血液と空気が出会う
表面活性物質が肺胞を虚脱から守る
肺胞でのガス交換は拡散による

換気と血流
ガス交換の効率は,換気と血流のバランスによって決まる
重力などのために換気・血流比の不均等が生じる
低酸素血症の原因は低換気,拡散障害,シャント,換気・血流比不均等分布

血液によるガス運搬
ヘモグロビン1分子は酸素4分子と結合できる
血液のpH低下やCO2増加はヘモグロビンから酸素を離れやすくする
CO2の大部分は血漿HCO3-またはカルバミノ化合物として運搬される

呼吸による酸塩基調節
肺からのCO2排出は酸塩基平衡にとって重要である
代謝に伴う酸塩基平衡の異常は呼吸により速やかに代償される

肺循環
肺の機能血管は肺動脈,栄養血管は気管支動脈である
肺循環は広大な毛細血管床を持つ低圧系である
肺の間質に出た水はリンパ管を通って排液される

肺と呼吸運動
呼吸運動は肺の大きさを変える
肺は胸郭の中で,縦隔を除くすべてのスペースを占めている
肺の内側面は多くの構造物に接している
胸膜は肺表面と胸郭内面とを覆う閉じた袋で,内部は常に陰圧である
横隔膜は胸腔と腹腔を隔てるドーム状の横紋筋である
呼吸運動は,胸郭の変形と横隔膜の移動による
呼吸運動の中枢は脳幹にある
化学受容器が動脈血のガス分圧を監視し,呼吸を調節する

肺気量と呼吸の力学
安静時の一回換気量は0.5リットル程度であるが,肺活量は7〜9倍の予備を持つ
肺気量分画は圧-量曲線と呼吸筋の筋力とから決まる
努力呼吸では呼出時の気道抵抗が増大する

肺の代謝機能と防御機構
肺は代謝と感染防御にも重要な役割を果たしている

[基礎知識]
線毛運動
呼吸生理学の用語と方程式



第2章 循環器

循環器系の概観
循環器系は血液を運ぶ回路で,1分間で全血液が一巡する

心 臓
心臓は第2〜第5肋間の高さで,縦隔の大半を占める
心臓は袋状の心膜に覆われ,その中を滑らかに動く
X線写真で心臓・大血管の輪郭は6つのカーブを描く
4つの部屋,4つの弁が2系統のポンプを構成する
心臓の弁は圧の変化によって開閉し,血液の逆流を防ぐ
洞房結節に生じたインパルスは,刺激伝導系を通って心室に伝えられる
心臓活動の5つのステージを心電図と心音図でモニターする
心電図の異常は,波の高さ(電位)と間隔(リズム)にあらわれる
心臓活動の調節(1)ハードウエア;ポンプとしての心臓
心臓活動の調節(2)ソフトウエア;自律神経によるコントロール

心筋の興奮と収縮
多数の心筋細胞が特有の接着構造でつながり,心筋線維をつくる
心筋の活動電位とイオンチャネル;長い脱分極相が特徴
心筋収縮のメカニズム;Ca2+が収縮の抑制機構をはずす

全身の動静脈
大動脈は体循環の本幹である
冠状動脈は心臓を栄養する機能的終動脈である
外頚動脈は頭蓋の外の構造を栄養する
内頚動脈は椎骨動脈とともに頭蓋内(脳)を養う
脳の静脈は主に硬膜静脈洞に集められ,内頚静脈に注ぐ
上腕動脈の枝と橈骨動脈・尺骨動脈の反回枝が肘周囲に動脈網をつくる
橈側皮静脈は腋窩静脈に,尺側皮静脈は上腕静脈に注ぐ
胸大動脈の枝は胸壁と気管支・食道に分布する
胸腹壁の静脈は奇静脈に集められ,上大静脈に注ぐ
腹大動脈の枝は消化器と泌尿生殖器に分布する
消化管,胆・膵・脾の血液は門脈に集められ,肝臓に入る
内腸骨動脈の枝は骨盤内臓・骨盤壁・殿筋に分布する
大腿動脈は枝分かれしながら下肢を栄養する
四肢の皮静脈は,深部を走る伴行静脈と吻合している
血管の壁は毛細血管を除き3層構造である

毛細血管・リンパ系
毛細血管は血液と組織との物質交換の現場である
毛細血管網は各器官の機能に応じて様々に形を変える
毛細血管から漏出した蛋白質は,組織間液とともにリンパ管に回収される
特定の領域のリンパは特定のリンパ節に注ぐ
リンパ液は血流に戻る前にリンパ節で濾過される

循環動態の調節
細動脈が末梢血管抵抗を,静脈系が心臓への還流量を決める
血圧の調節機構(1)ホルモンによる全身性調節
血圧の調節機構(2)血管の局所性調節
血圧の調節機構(3)自律神経による調節
血管平滑筋収縮の分子機構—受容体刺激によりCa2+が動員される
局所循環—循環系は各組織の要求に合うように作られている

循環器系の疾患
循環器系の異常はあらゆる臓器に影響を及ぼす

心臓・大血管の発生
心内膜筒はS字状に弯曲し,将来の心室と心房が形づくられる
心内膜床を軸として中隔と房室弁が形成され,心臓を4つの部屋に分ける
右静脈洞角と原始肺静脈はそれぞれ心房に合体してその後壁をつくる
らせん状のドテが大動脈路と肺動脈路を分ける
3対の鰓弓動脈が生後まで残り,肺動脈,大動脈弓およびその枝をつくる
出生時,胎児循環に激変が起こる

[基礎知識]
心電図
膜電位



第3章 消化管

消化管の概観
消化管は外界に開いた中空の管で,口から肛門まで長さ9mに及ぶ
消化管は食物を低分子の栄養素に分解し,細胞が利用できる形に変える
消化とは,酵素により食物を加水分解する化学反応である

顎・口腔
顎関節は上下2段の関節腔を持ち,下顎を自由に動かす
4つの咀嚼筋が下顎を閉じ,前後左右のすり合わせ運動を行う
舌は多数の筋からなる筋性器官である
3種の大唾液腺と多数の小唾液腺が口腔内に唾液を分泌する
唾液腺には粘液細胞と漿液細胞があり,自律神経により分泌が調節される

咽 頭
咽頭は横紋筋の管で,気道と消化管が交叉する
口腔の筋と咽頭の筋が順序よく働いて,食塊を食道へ送り込む

食 道
食道は気管と脊柱に挟まれて下行し,横隔膜を貫いて腹腔に出る
蠕動により,逆立ちしていても食塊は胃に送られる
食道の静脈は上大静脈と門脈の吻合路となる

胃
胃は心窩部付近にあり,腹膜でゆるく固定されている
平滑筋による蠕動運動は,胃内容を撹拌して少量ずつ送り出す
胃の粘膜は,びっしりと並んだ胃腺でできている
固有胃腺は4種類の細胞がトンネル状に並び,胃液を分泌する
酸分泌細胞のH+ポンプが胃酸(HCl)を分泌する
胃液の分泌は迷走神経と局所ホルモンによって調節される
胃粘膜は粘液のバリアーで自らを守る

小 腸
十二指腸の大半は後腹壁に固定されている
小腸内壁の表面積はバレーボールのコートより広い
腸管は豊富な壁在神経叢を持ち,自律的に蠕動と分泌を調節する
絨毛を構成する吸収上皮細胞は24時間で新しい細胞に入れ替わる
微絨毛の膜が最終的な消化吸収の場である

栄養素の消化と吸収
3大栄養素の消化は加水分解,吸収は小腸粘膜細胞の膜輸送である
炭水化物は単糖に分解され,Na+とともに細胞内に入る
蛋白質はジペプチドやアミノ酸に分解され,それぞれの輸送体で吸収される
脂質は胆汁酸の助けを借りて粘膜表面に運ばれ,単純拡散で吸収される
腸管に入った水の98%は吸収される
ビタミンの多くは生体内で合成できないため,食物から摂取しなければならない

大 腸
結腸のうち横行結腸とS状結腸のみが間膜を持つ
回腸末端が盲腸内に突出して弁となり,逆流を防ぐ
直腸の下1/3は漿膜を欠き,周囲臓器と直に接する
肛門管は粘膜と皮膚が出会う場所である
結腸は水分を吸収して糞便を固め,直腸へ押し出す

消化管の病態
嘔吐は生理的防御反応である
蠕動運動のバランスが崩れると下痢や便秘になる
あらゆる食物抗原がアレルゲンになりうる

消化管と腹膜の発生
消化管は卵黄嚢のくびれから,1本の真っ直ぐな管として生ずる
胃と腸は回転しながらそれぞれの位置に収まる
前腸と中腸の回旋に伴い,腸間膜に大きな変化が起こる

[基礎知識]
上皮組織の分類



第4章 肝・胆・膵

腹部内臓の概観
肝・胆・膵は,胃や脾臓とともに上腹部の大部分を占める

肝臓・胆嚢
肝臓は最大の実質臓器で,横隔膜直下にある
胆嚢は肝臓の下面にあり,胆汁を貯え濃縮する
肝臓は毛細血管の塊で,多量の血液を含む
直径1mmほどの肝小葉が無数に集まって肝臓をつくる
門脈血は類洞壁を通って肝細胞と出会い,活発な代謝が営まれる
肝臓には多くの免疫細胞が存在し,免疫器官としての働きは小さくない
肝炎は放置すればやがて肝硬変,肝癌へと進行する

代 謝
肝臓は代謝の中心的役割を担う
肝臓は糖をグリコーゲンとして貯え,必要に応じてグルコースを放出する
グルコースのエネルギー変換は解糖から始まる
異化の最終段階;ミトコンドリア内膜で大量のATPが生成される
体内の貯蔵エネルギーの大半は脂肪である
肝臓は脂肪の物流基地である
血漿蛋白質の大部分は肝臓でアミノ酸から合成される
血漿アミノ酸濃度は一定に保たれる
アルコールや多くの薬物が肝臓の酵素で代謝される
体内には3つのエネルギー貯蔵庫がある

胆 汁
肝臓は胆汁酸と余剰コレステロール,老化赤血球から胆汁をつくる
胆汁の分泌は,小腸からのセクレチンとコレシストキニンによって促進される

膵 臓
膵臓は後腹膜に埋まっており,脊椎と大血管をまたいで脾臓に及ぶ
膵臓は多くの腺房からなる外分泌腺で,その中に内分泌細胞群が点在する
ランゲルハンス島は数種類のホルモン分泌細胞からなる内分泌組織である

膵 液
膵液には三大栄養素を分解する酵素がすべて含まれている
膵液はその分泌速度と電解質組成を巧妙に変えている
消化管ホルモンが膵液の分泌を調節している

血糖の調節
種々の調節機構によって血糖値は狭い範囲に保たれている
膵島ホルモンは互いの分泌を調節し合う
インスリンはグルコースの細胞内取り込みと利用を促進する
糖尿病はインスリンの分泌低下または作用低下によって起こる

肝・胆・膵の発生
肝・胆・膵は消化管の付属腺として発生する

[基礎知識]
生命活動は代謝によって支えられている



第5章 腎・泌尿器

人体の中の腎臓
腎臓の第一の目的は,体液の恒常性を維持することである
腎臓の主な働きは5つある
腎臓は背中側で肋骨になかば隠れている
腎臓は腹膜後隙にあり,脂肪組織で守られている

腎臓の概観
腎組織は皮質と髄質に分かれ,糸球体・尿細管・血管が規則正しく並ぶ
尿細管は,その走行と上皮細胞の種類によって区分される
糸球体は皮質迷路にあり,尿細管は皮質と髄質を縦横に走る

腎小体(糸球体とボウマン嚢)
糸球体とそれを包むボウマン嚢が腎小体を作る
糸球体には3種類の細胞がある
糸球体濾過のフィルターは3層からなる
糸球体濾過は血圧を駆動力とし,血球や蛋白質を通さない
腎臓の自己調節機構により,糸球体濾過量(GFR)は一定に保たれる
腎クリアランスは,非侵襲的・定量的な腎機能解析法である
糸球体は壊れやすく,再生しない

尿細管
尿細管の上皮細胞は,分節ごとに特徴的な構造と機能を持っている(1)
尿細管の上皮細胞は,分節ごとに特徴的な構造と機能を持っている(2)
濾液中の有用な血漿成分は近位尿細管で回収される(1)
濾液中の有用な血漿成分は近位尿細管で回収される(2)
近位尿細管における再吸収の特徴は等張性と制限性である
ヘンレループの下行脚と集合管で水が再吸収される
ヘンレループの対向流の働きで髄質は高浸透圧となり,尿が濃縮される

腎循環
心拍出量の20%が腎臓に入り,毛細血管を2回通る
腎臓内の動脈は典型的な筋性動脈である
傍糸球体装置は血管極周辺の細胞からなり,糸球体濾過量を調節している

水・電解質・pHの調節
体内ナトリウム量が体液量を決定する
集合管のNa+輸送はホルモンにより調節され,体液量は一定に保たれる
利尿薬は尿細管でのナトリウムと水の再吸収を抑制する

腎臓とホルモン産生
細胞内外のカリウム分布は,不均等な状態でバランスを保っている
濾液中のK+は近位尿細管で大量に再吸収され,集合管で分泌される
血漿Ca2+濃度が低下するとPTHが分泌され,骨吸収と尿細管での再吸収を増やす
近位尿細管での無機リンの再吸収は,PTHにより抑制される
代謝によって生じた酸のため,血液は酸性に傾きやすい
尿細管はH+を尿中に排出し,体液pHを一定に保つ

尿管・膀胱
膀胱は腹膜直下,骨盤腔の最前部にある
尿管と膀胱の粘膜は,伸縮自在の移行上皮で出来ている
尿管と膀胱の壁は3層の筋からなり,伸縮性に富む

泌尿器系の発生
泌尿器と生殖器は同じ原基から発生する
腎臓は発生の過程で90度回転しながら上昇する

[基礎知識]
細胞結合,細胞骨格,細胞外基質
細胞膜における物質輸送



第6章 生殖器

生殖器の概観
生殖器は種の存続のための器官である
男女の生殖器は共通の起源から分化するが,両者の構造は大きく異なる

男の生殖器
精巣はもと腹腔にあった
1日3000万個の精子が精細管で作られる
ライディッヒ細胞の産生するテストステロンが精子の形成を促す
精子は輸精路の中で何週間でも生きている
射精された数億の精子のうち,受精の場に到達するのはごく少数である
多量の血液が海綿体に流れ込むことにより,勃起が起こる

女の生殖器
卵巣・卵管・子宮はひとつづきの腹膜をかぶっている
卵巣は骨盤側壁にある腹腔内臓器である
卵細胞は,卵巣中で卵胞に包まれて育つ
下垂体ホルモンが卵胞を成長させ,排卵に導く
放出された卵子は卵管に取り込まれ,子宮に運ばれる
子宮は厚い平滑筋の袋で,体部は腹腔に,頚部は腟内に突出する
子宮体部と頚部は異なる粘膜で内張りされている
子宮内膜は受精卵のために毎月新しい寝床を用意する
月経周期は,卵巣ホルモンの分泌パターンによって支配されている
腟内は酸性に保たれる

骨盤底・会陰
筋性の隔壁が骨盤内臓器を下から支えている

妊娠・分娩
精子は酵素を放出して卵子の外被を突破する
受精卵は約280日間で急成長する
受精卵は卵管内を移送され,1週間後に子宮内膜に着床する
胚は栄養膜に包まれて子宮内膜に埋まっていく
人体の各器官は内・中・外の三胚葉のいずれかから作られる
胎児の絨毛は母体血の池に浸され,物質交換が始まる
胎盤はいわば万能の臓器である
胎児の成長に伴い,母体の全身に大きな変化が起こる
分娩時,子宮体部と底部は収縮し,頚管は上方へ引っぱられて開大する
乳腺の組織構造は妊娠中に大きく変化する

思春期と更年期
性ホルモンの分泌開始が思春期をもたらし,分泌低下とともに更年期に入る

生殖器の発生
Y染色体が性分化のスイッチを入れる
男の生殖管はウォルフ管から,女の生殖管はミュラー管から作られる
外生殖器の性分化はステロイドホルモンによって誘導される

[基礎知識]
有糸分裂と減数分裂



第7章 血液・免疫

血液の組成
血液の45%は細胞成分で,そのほとんどが赤血球である

造 血
血液細胞は骨髄でつくられる
すべての血液細胞は共通の幹細胞から分化する

物質輸送;赤血球
赤血球はヘモグロビンの入った柔らかい袋である
エリスロポエチンは酸素需要に応じて赤血球の産生を調節する
赤血球は約120日で寿命を終え,破壊される
赤血球膜上の抗原が血液型を決める

止血機構;血小板と血漿
血管壁,血小板,凝固因子が協同して出血を止める
凝固系と線溶系のバランスが血栓の成長と溶解を調節する

生体防御(1)食細胞と自然免疫
好中球とマクロファージは非特異的生体防御の主役である
好中球は真っ先に感染局所に動員される
補体は食細胞の貪食を助けるとともに,それ自身殺菌作用を持つ
炎症は,生体防御反応を肉眼レベルの現象としてとらえたものである

生体防御(2)リンパ球と獲得免疫
リンパ球は体内を循環しながら,抗原との出会いを待つ
体液性免疫と細胞性免疫が補い合って,さまざまな抗原に対処している
B細胞は,抗原特異性の異なる数億種類の抗体を作ることができる
T細胞の活性化には,抗原認識とともに第2のシグナルが必要である

生体防御(3)免疫の異常
過剰な免疫応答により組織が傷害されることをアレルギーという
自己免疫疾患は,自己寛容の破綻した状態である

生体防御(4)リンパ器官
粘膜面は常に外来抗原にさらされており,MALTがその侵入を防いでいる
組織に侵入した抗原はリンパ節で捕捉され,抗体が産生される
白脾髄は抗体を産生し,赤脾髄は古い赤血球を破壊する
T細胞は胸腺で分化・成熟する

[基礎知識]
アラキドン酸カスケードとその産物
自然免疫と獲得免疫
臨床免疫の全体像
MHC(主要組織適合遺伝子複合体)
サイトカイン



第8章 内分泌

内分泌系の概観
ホルモンはきわめて微量で生理機能を調節する

視床下部と下垂体
視床下部と下垂体は神経内分泌を行う機能単位である
下垂体ホルモンの分泌機構は,前葉と後葉で大きく異なる
視床下部ホルモンは内分泌系の最上位ホルモンである
下垂体前葉ホルモンは,末梢内分泌腺からのホルモン分泌を促進する
成長ホルモンは,脳を除くすべての組織の成長を促進する

甲状腺・副甲状腺(上皮小体)
コロイドを満たした濾胞上皮が甲状腺ホルモンをつくる
甲状腺ホルモンはチロシンとヨウ素から合成され,コロイド中に貯えられる
甲状腺ホルモンはほとんどの組織に作用して代謝を亢進させる
PTHは活性型ビタミンD3,カルシトニンとともに血漿Ca2+濃度を調節する

副 腎
副腎は発生起源と機能の異なる2種類の組織からなる
副腎皮質はステロイド分泌細胞,髄質はカテコールアミン分泌細胞からなる
副腎髄質の分泌するアドレナリンは,交感神経の興奮と類似の作用を及ぼす
副腎皮質ではコレステロールから3種類のステロイドホルモンがつくられる
糖質コルチコイドは代謝を調節し,ストレスに対抗する
電解質コルチコイドは腎集合管でのNa+再吸収を促進し体液量を維持する

性腺,松果体
性ホルモンは,副腎皮質・精巣・卵巣において共通の経路で合成される

[基礎知識]
細胞内シグナル伝達系



第9章 神経系(1)

神経系の概観
神経系は全身に張りめぐらされた情報ネットワークである
神経系を構成する細胞はニューロンとグリアである

神経系における情報伝達の仕組み
軸索は電気信号を伝える導線,髄鞘は絶縁被膜である
ニューロンの活動電位はNa+とK+によって形成される
シナプスで電気信号を化学信号に変える
ひとつの神経伝達物質が複数の受容体に働き,さまざまな応答が起きる

脳・脊髄の構造
中枢神経系は脊椎動物とともに誕生,進化してきた
脊髄の灰白質は神経細胞,白質は縦走する神経線維からなる
脊髄の後根から感覚ニューロンが入り,前根から運動ニューロンが出る
延髄,橋,中脳を合わせて脳幹といい,脳神経が出入りする
上行性,下行性の伝導路は脳幹内で対側に交叉する
脳神経の核は一般の運動核と知覚核に加え,特殊核を有する
小脳は系統発生学的に3区分され,各部は別々の機能を担っている
身体の位置情報や筋・腱の深部感覚は小脳核で統合される
視床は中枢神経系で最大の神経核である
視床核は下位脳と大脳皮質を連絡する中継核である
巨大化した新皮質を頭蓋内に詰め込んだため,多くのしわが生じた
新皮質は6層からなり,各層の発達の程度は部位により異なる
嗅脳と辺縁系は古い皮質からなり,大脳半球の隅に押しやられている
大脳髄質の深部にかつての運動中枢があり,錐体路系を補佐する

高次神経機能
中心溝の前方に運動野,後方に感覚野がある
連合野はさまざまな情報を統合し知的機能を営む
海馬は記憶の形成に関わる
扁桃体は情動と本能行動の統合中枢である
脳幹からの上行性投射が意識水準を調節している

運動系
運動機能は複数の中枢により階層的に制御されている
脊髄は運動における下位中枢である
姿勢制御,眼球運動の中枢は脳幹にある
錐体路が運動指令を脊髄に伝える
基底核の損傷により特異な運動障害が生じる
小脳皮質には規則的な神経回路が存在する
小脳は感覚情報と運動指令を統合し,運動を調節する

脳・脊髄を包む構造
脳と脊髄は3重の被膜で包まれ,髄液中に浮かんでいる
髄液は中枢神経系を物理的・化学的に保護している

脳循環
大脳への血液供給は,大部分を内頚動脈が担っている
脳幹と小脳は椎骨・脳底動脈から血液供給を受ける
神経細胞は虚血にさらされると容易に死滅する

神経系の発生
脳・脊髄は神経管から形成される
神経堤細胞が遊走して脊髄神経節,自律神経節をつくる



第10章 神経系(2)

脊髄神経
脊髄神経は椎間孔を出るとすぐに前枝と後枝に分かれる
後枝は体壁の背側,前枝は体壁の腹側および体肢に分布する
頚神経叢の枝は,頚部の皮膚,舌骨下筋群,横隔膜に分布する
腕神経叢の枝は上肢に分布する
筋皮神経は上腕の屈筋,正中神経は前腕の屈筋,尺骨神経は手の小筋を支配する
橈骨神経は上腕と前腕のすべての伸筋を支配する
腰神経叢の枝は,下腹部と大腿前面に分布する
仙骨神経叢の枝は,殿部・大腿後面・下腿・足に分布する
坐骨神経は人体最大の神経で,その枝は足底にまで及ぶ

自律神経
自律神経は内臓・血管・腺を支配する
胸部内臓は,幹神経節を出た節後線維と迷走神経とによって支配される
腹部の自律神経は,腹大動脈の分枝に伴って諸臓器に至る
交感神経は身体活動の活性化に,副交感神経は身体活動の安静化に働く
自律神経の伝達物質はアセチルコリンとノルアドレナリンである
内臓は自律神経によって反射性調節を受ける
視床下部は自律神経,内分泌,体性神経の統合中枢である

脳神経
脳神経は特殊感覚線維と副交感線維を含む
動眼神経,滑車神経,外転神経は眼球運動を司る
三叉神経第1枝と第2枝は顔面の皮膚感覚を司る
三叉神経第3枝は咀嚼筋を支配する
顔面神経と舌咽神経は,分泌線維,味覚線維を含む
迷走神経は主として副交感線維からなり,胸腹部内臓に広く分布する

体性感覚
皮膚・筋・腱・関節の受容器によって生じる感覚を体性感覚という
応答特性の異なる種々の受容器が皮膚感覚を司る
体性感覚は3つのニューロンを介して大脳皮質感覚野に伝えられる

視 覚
眼球は眼筋や涙器とともに眼窩に収まり,それらの隙間を脂肪が埋めている
眼球各部の働きは,カメラの部品にたとえられる
網膜は高度に分化した神経組織である
視細胞の外節において,光は電気信号に変換される
網膜は明暗,色,形,動きをとらえる
網膜からの信号は外側膝状体を経て一次視覚野へ伝えられる

聴覚と平衡覚
鼓膜の振動は,耳小骨を介して内耳の外リンパに伝えられる
蝸牛内で音の周波数が弁別される
有毛細胞は,音の振動を感覚毛の傾きとして検出する
聴覚中枢は音の強さ,高低,音源の方向を弁別する仕組みを備えている
半規管は回転加速度の受容器である
平衡斑は重力の方向を検出する装置である
前庭覚は,姿勢と眼球の向きを制御して身体平衡を維持している

嗅覚と味覚
嗅細胞は最も原始的な感覚ニューロンである
味細胞は5つの基本味に特異的に応答する

外 皮
表皮細胞は基底層で新生し,角化しながら表層へ移動する
皮膚は生体防衛の最前線である



第11章 運動器

運動器の概観
支持する骨と動かす筋の組み合わせにより,各部の多彩な運動が行われる
体幹と四肢の骨格はそれぞれの役割に適した構造を持つ

骨格系
骨は緻密質と海綿質で構築され,丈夫さと軽さを兼ね備えている
骨組織は絶え間ない骨吸収と骨形成によって再構築される
丈夫な骨をつくるためには,ホルモン,栄養,運動が必要である
骨端板における軟骨細胞の増殖が,骨を長軸方向に成長させる
関節面の形状が関節の可動性を規定する
関節運動の結果,骨の遠位端で複雑な動きが生じる

筋 系
骨格筋は骨に付き,随意運動ならびに姿勢の維持に働く
筋線維は,収縮蛋白質を含む細長い細胞である
細胞内Ca2+濃度の上昇によって分子スイッチが作動し,筋収縮が起こる
筋細胞膜の脱分極は瞬時に細胞内に伝わり,筋小胞体からCa2+が放出される
神経筋接合部ではアセチルコリンを用いたシナプス伝達が行われる
骨格筋の収縮力はインパルスの頻度と運動単位の数によって決まる
平滑筋は横紋筋に比べ収縮速度が遅く,張力も弱い

上 肢
上肢帯は,自由上肢と体幹との間をつなぐ骨格単位である
肩関節は大きな可動域を持つが安定性に乏しく,多くの筋で補強されている
前腕は,屈伸と回外・回内の組み合わせにより自由に動く
手根の関節は,橈骨と手根骨が作る楕円関節である
ヒトの手の巧緻な運動は,母指の動きによるところが大きい
浅背筋と浅胸筋は上肢帯を保持し,肩甲骨をいろいろな方向へ動かす
肩関節の運動は,多くの筋の協同作用である
肘関節の主要な屈筋は上腕筋,伸筋は上腕三頭筋である
前腕の前面には,手の骨に付く屈筋群と,前腕骨に付く回内筋が存在する
前腕後面の伸筋群は,6つのトンネルを通って手に向かう
手の内在筋は,指の精緻な運動を行う

下 肢
骨盤は体重を支え,また自由下肢を連結する
股関節は,肩関節に比べはるかに安定性が高い
膝関節は最も酷使される関節であり,半月板が存在する
足の骨はアーチ形に組み合わさり,体重を分散する
骨盤から起こる強大な筋群が直立二足歩行を可能にした
大腿の伸筋と屈筋は,股関節と膝関節の両方に作用する
内転筋群は大腿を内側に引き,直立位の維持に寄与する
足の内反・外反は,歩行にとって重要な働きのひとつである
強大な下腿屈筋のおかげで,つま先立ちができる
足底の筋は協同して足弓を維持し,体重を支える

体 幹
椎骨の形は部位ごとに特徴がある
個々の椎骨の運動はわずかでも,脊柱全体としては非常な柔軟性を持つ
胸式呼吸は肋骨の上下運動である
固有背筋は脊柱の起立と運動に働く
頚部の筋は頭部の運動と内臓機能に関与する
安静時の主要な吸息筋は外肋間筋と横隔膜である
腹壁の筋は腹部内臓を保護するとともに,腰椎の運動,呼吸運動に関わる

頭 部
15種23個の骨が主に縫合でつながり,頭蓋を構成する
表情筋はすべて第2鰓弓に由来し,顔面神経の支配を受ける