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呼吸器系 1 呼吸器系の解剖学

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→ 呼吸器系 目次

Chapter 1 呼吸器系の解剖学

1.1 呼吸器系の構造

気道

  • 口腔
  • 鼻腔
  • 咽頭
  • 喉頭
  • 伝達部 : 気管から終末気管支まで
    • 気管
      声帯から気管分岐部 (T5 付近) までをいう。上皮は 多列線毛上皮 からなり、主として線毛細胞と杯細胞がある。周辺は軟骨を平滑筋で囲まれる。
    • 気管支 bronchi
    • 区域気管支
    • 亜区域気管支
    • 細気管支 bronchiole
      これより抹消は壁に軟骨と固有層での分泌腺を欠く。
      • 終末細気管支 terminal bronchioles : 16 次
        上皮は単層円柱上皮であり、線毛細胞とクララ細胞で構成される。周辺を比較的厚い平滑筋が取り囲んでいる点が特徴。な お一つの終末気管支の支配域を細葉 acinus という。

  • 肺実質 (呼吸部)
    呼吸細気管支から肺胞まででガス交換の場となる。
    • 呼吸細気管支 respiratory bronchioles
      上皮は単層立方上皮となる。しばしば線毛を失うため感染しやすい。空気の伝達とともに、肺胞管の先に肺胞が嚢状に膨出して呼吸作用を営む。このため別名を中間領域という。
  • 肺中隔 (肺間質)
    肺間質とは、肺胞上皮細胞基底膜と毛細血管内皮細胞基底膜で囲まれた領域。
    • 肺間質細胞として線維芽細胞、平滑筋細胞など
    • 細胞外基質として膠原線維、弾性線維、基底膜など

胸膜

横隔膜

1.1.1 気管 trachea

典拠: 標準外科学 8 版 [104, p.329] ,
典拠: 標準組織学各論 [99, p.181] ,
典拠: 基準組織学 [74, p.279]

概念

C6~7 の高さで喉頭の終りに起始し、気管分岐部 (T4 付近) までをいう。

構造

上皮は多列線毛上皮からなり、主として線毛細胞と杯細胞が分布している。

  • 軟骨性部
  • 膜性部

1.1.2 気管支 bronchus

典拠: 標準外科学 8 版 [104, p.329]

主気管支 main stem bronchus

気管は T4~5 の高さで左右の主気管支に分岐する。 心臓が体の正中線より左に偏するために左の肺はその容積が右よりも小さい。そのため左気管支は右気管支よりも細長く、かつ強く傾く (気管分枝角 の平均は右 23 度, 左 46 度)。このため右気管支には異物が入りやすく、嚥下性肺炎を起こしやすい。

  • 右主気管支
    太く、短く、垂直に近い傾斜をもつ。
  • 左主気管支
    細く、長く、水平に近い傾斜をもつ。

葉気管支 lobar bronchi

区気管支 segmental bronchi

このレベルの気管支の分布域によって肺区域が区分される。

気管支枝

 区気管支の枝である。

細気管支

 bronchioles 軟骨が消失し、上皮が単層円柱上皮となる。

呼吸細気管支

上皮は単層立方上皮となる。

肺胞管

  • 肺胞嚢
  • 肺胞

細気管支 bronchiole

典拠: Essentials Radiologic Imaging.7ed [16, p.945] ,
典拠: 呼吸の病態生理 [35, p.10]

概念

組織学的にこれより抹消は壁に軟骨と分泌腺を欠くのが特徴である。

構造

  • 終末細気管支 terminal bronchioles : 16 次
    上皮は単層円柱上皮であり、線毛細胞とクララ細胞で構成される。周辺を比較的厚い平滑筋が取り囲んでいる点が特徴。なお一つの終末気管支の支配域を細葉 acinus という。
  • 呼吸細気管支 respiratory bronchioles
    ここから細気管支壁のなかに肺胞が出現し、ガス交換に関与する。すなわち肺実質部である。
    上皮は単層立方上皮となり、線毛上皮を失うため感染しやすい。空気の伝達とともに、肺胞管の先に肺胞が嚢状に膨出して呼吸作用を営む。 このため別名を中間領域という。

1.1.3 肺胞

典拠: 標準組織学各論 [99, p.187] ,
典拠: 基準組織学 [74, p.279] ,
典拠: 呼吸の病態生理 [35, p.10]

肺胞上皮細胞

2 種類存在する。

  • I型肺胞上皮細胞, 扁平肺胞細胞
    ガス交換に関与する、扁平な細胞である。
  • II型肺胞上皮細胞, 大肺胞細胞
    界面活性剤 (サーファクタント) を分泌し、表面張力を低下せしめる機能を持つ。I 型の間隙に存在する、立方で大型、微絨毛を持つ細胞である。

肺胞腔

肺胞大食細胞 (塵埃細胞) が肺胞腔内に散在する。これは空気中から入った異物を細胞内に取り込み, 抗原としてリンパ球に提示する (抗原提示)。

1.1.4 肺の分画, 肺区域

典拠: 胸部単純 X 線診断 2 版 [116, p.16] ,
典拠: 内臓学 [115, p.272] ,
典拠: Clinical Anatomy [1, p.264] ,
典拠: 標準外科学 8 版 [104, p.329]

概念

肺区域 bronchopulmonary segment とは、肺葉のもっとも大きな区分で、第 3 次気管支 (区気管支) と第 3 次肺動脈とが分布している領域をいう。

構造

  • 右肺
    斜裂および水平裂によって上葉、中葉、下葉に分けられる。さらに区気管支の分布域によって以下のように 3 区、2 区、5 区と分画される。
    • 上葉
      S1,S2,S3 の 3 区ある。
    • 中葉
      S4,S5 の 2 区ある。
    • 下葉
      S6~S10 の 5 区ある。
  • 左肺
    斜裂によって上葉、下葉に分けられる。さらに区気管支の分布域によって以下のように 5 区、4 区と分画される。
    • 上葉
      S1+2,S3,S4,S5 から構成される。
      • 上区: S1+2,S3
      • 舌区
        S4,S5 から構成される。
    • 下葉
      S6,S8~S10 から構成され、左肺は通常、S7 を欠く。

1.2 肺血管系と神経支配

典拠: Pathophysiology [22, p.185] ,
典拠: 呼吸器病学 [66, p.38]

肺の血管

  • 機能血管
    • 肺動脈
      低酸素性肺血管収縮機構を備える。
    • 肺静脈
  • 栄養血管
    • 気管支動脈
      胸部大動脈もしくは肋間動脈から分岐し、気管支壁を沿って肺に入る。気管支から呼吸細気管支に至る領域に血液を送るが、肺実質には分布しない。
    • 気管支静脈
      一部は奇静脈を経て右心に流入するが、残りは右心室をバイパスして肺静脈に戻る。この経路の血液は肺胞でのガス交換にあずからないため生理学的シャントを形成する。

肺の神経支配

  • 遠心性線維
    • 副交感性
      迷走神経から肺神経叢へと至る、ムスカリン性のコリン作動性遠心性線維
      • 気管収縮
        副交感神経は気管支平滑筋を収縮して気管支の内腔を狭める 作用を持つ。したがって過度の緊張は喘息を招来する。
      • 粘液分泌
      • 肺血管拡張
    • 交感性
      胸内臓神経から肺神経叢へ至る。気管の弛緩・粘液分泌の抑制を行なう。
  • 求心性線維
    • 主に迷走神経感覚線維

1.2.1 肺動脈 pulmonary artery

典拠: PulmonaryDiseasesDisorders.2ed [37, p.12] ,
典拠: 最新内科学大全:心外膜疾患と肺性心 [45, p.237]

概念

右心室に起始し、主幹部は上行大動脈と平行して走行する。右肺動脈は上行大動脈の後方で右主気管支の前方を通って肺門部に至る。左肺動脈は左主気管支の前方を覆い被さるようにして肺門部に至る。肺野では気管支と伴走する。
低酸素性肺血管収縮機構を備える。

低酸素性肺血管収縮機構 hypoxic pulmonary vasoconstriction,HPV

肺胞期酸素分圧が 60mmHg 以下では肺胞に近接する肺細小動脈が収縮する現象を意味する。
これは肺が局所的な肺胞低換気に陥った場合に肺血流を下げることで換気血流比を維持し、低酸素血症の増悪を防止するという意義を有する。しかし肺全体に換気不全が生じると肺血管抵抗の上昇のみをもたらすので、低酸素性肺高血圧症の原因となる。

1.2.2 気管支動脈 bronchial artery

典拠: 標準外科学 8 版 [104, p.330]

概念

気管支および細気管支の栄養血管である。 胸部大動脈もしくは肋間動脈から分岐し、気管支壁に沿って肺に入る。気管支から呼吸細気管支に至る領域に血液を送るが、肺実質には分布しない。

1.3 胸膜 pleura

典拠: 標準外科学 8 版 [104, p.318] ,
典拠: ClinicalAnatomy [1, p.259] ,
典拠: 内臓学 [115, p.277]

概念

胸膜とは、胸壁の内面と肺の表面を覆う漿膜である。肺門の回りで折りかえって互いに移行するので嚢状を呈する。

機能

呼吸に伴って臓器が動く際にその摩擦を軽減する。正常でも胸腔内には胸水が存在し、摩擦の軽減に貢献している。

区分

  • 臓側胸膜, 肺胸膜 visceral pleura,pleura pulmonalis
    肺の全表面を覆う胸膜である。ここには知覚神経が分布しないため痛覚がない。
  • 壁側胸膜 parietal pleura
    胸腔を内面から覆う胸膜であり、胸内筋膜の下にある。壁側胸膜には肋間神経から知覚神経が分布するので痛覚に敏感という特徴を持つ。 したがって胸膜炎などで胸痛を訴えることになる。
    • 縦隔胸膜
    • 肋骨胸膜
    • 横隔胸膜
  • 肺間膜
    胸膜は袋状になっており、肺胸膜は肺門において壁側胸膜に移行する。
    この移行部において胸膜が2重のヒダとなる部分を肺間膜という。
  • 胸膜洞 recessus pleuralis, pleural recesses
    肺胸膜と壁側胸膜との間隙を胸膜腔 pleural cavities という。この空隙は特に肺の前縁と下縁において大きく、ここを特に胸膜洞という。

1.4 横隔膜 diaphragma

典拠: 呼吸器病学 [66, p.41]

概念

胸腔と腹腔の境界をなす膜状の筋であり、呼吸を司る主力筋である。主にC4 神経根によって支配されている。

  • 起始:
    • 腰椎部:
    • 肋骨部: 第7から第12肋軟骨
    • 胸骨部: 胸骨の剣状突起から起こる
  • 停止: 腱中心
  • 神経: 横隔神経および副横隔神経
  • 作用: 横隔膜を下げ、胸腔を拡大させる (吸息)

横隔膜上に存在する孔

横隔膜ヘルニアの好発部位。

  • 大静脈孔
    Th8 で、腱中心に開き、下大静脈、横隔神経の枝が走る。
  • 食道裂孔
    Th10 で開き、食道、迷走神経を通す。
  • 大動脈裂孔
    Th12 で開き、大動脈、胸管、交感神経が走る。

横隔膜の神経

  • 横隔神経
    運動線維と交感神経線維を含む。
  • 肋間神経
    知覚性であり、臟側胸膜に分布する。

1.4.1 横隔神経 phrenic nerve

典拠: 分担解剖学:脈管学・神経系 11 版 [107, p.427] ,
典拠: NeuroAnatomyNMS [8,p.81]

概念

頸神経叢の C3,C4,C5 より起こり、前斜角筋の前面を横切り、鎖骨下動静脈のあいだを通って胸腔内に入り、肺門部気管支前面で縦隔胸膜と心膜のあいだ (中縦隔) を通って横隔膜上面に到達する。最終的に横隔膜および胸膜に分布し、呼吸運動を担う。

作用

呼吸運動を担う。横隔神経が刺激されると横隔膜の面積が縮小し、横隔膜は全体として下降するため、胸腔の容積が増す。すると胸膜腔内の陰圧の程度が増し、肺は受動的に膨張する。

1.4.2 横隔膜の発生

典拠: Essential Surgical Practice.3ed [2, p.33]


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