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medical praxis - web版 医学ノート - 国家試験対策

学問の上で大いに忌むべきは、したり止めたりである。したり止めたりであれば、ついに成就することはない。

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肝胆膵 15 門脈圧亢進症 portal hypertension

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→ 肝胆膵系 目次

Chapter 15 門脈圧亢進症 portal hypertension

典拠:標準外科学 8 版 [84, p.657] ,
典拠:Concise Pathology [14, p.637] ,
典拠:Pathophysiology [17, p.332] ,
典拠:Diagnosis And Treatment In Gastroenterology [10, p.560],
典拠:NIM 消化器病学 4版 [60, p.358]

概念

門脈系に血行異常が生じたために門脈圧が亢進する病態の総称である。門脈圧が 250[mmH2O] 以上を亢進となす。

分類

  • 肝前性 presinusoidal
    門脈が血栓・腫瘍・寄生虫などによって閉塞して生じる。
  • 肝内性
    多くは肝硬変に起因し、門脈圧亢進症の原因として最大である。
    • 門脈性
      • 特発性門脈亢進症
    • 類洞性 sinusoidal
    • 肝静脈性
      • 肝硬変
  • 肝後性 postsinusoidal
    Budd-Chiari 症候群や鬱血性心不全が原因となる。

病態生理

  • 脾腫 門脈の上流には脾静脈があるため、門脈の閉塞によって脾腫をきたす。 脾腫によって脾臓内のマクロファージが増加すると血球が貪食され、汎血球減少症 pancytopenia に発展する。
  • 側副血行路による静脈瘤
    • 食道静脈瘤
      門脈系の閉塞によって、血液が左胃静脈を介して奇静脈に注ぐ。
    • 痔核 hemorrhoid
    • メデューサの頭
      血液が臍傍静脈を経て腹壁皮下静脈に注ぐために生じた腹壁皮下静脈の怒張である。 肝硬変などによって門脈の閉塞が生じると、門脈血は肝円索内の 臍旁静脈から腹壁の皮静脈を経て上大静脈・下大静脈に流入するようになる。このときに臍の周辺の皮静脈に放射状の拡張が見られる。これをメデューサの頭という。
  • 腹水
    門脈圧亢進によって、リンパ液が鬱滞する。
  • 肝性脳症

治療

  • 外科療法
    • 門脈減圧術
      • 門脈-下大静脈端側吻合術 end to side portacaval shunt
        門脈本幹を下大静脈に端側吻合するので門脈圧の減圧は著しいが、門脈中の中間代謝物が肝臓で処理されずに大循環系に流入するため、肝性脳症を生じやすい。
      • 遠位脾腎静脈吻合術
        脾臓からの血流を左腎静脈に流すため、肝性脳症は少ない。

15.1 肝前性門脈圧亢進症 presinusoidal portal hypertension

典拠:標準外科学 8版 [84, p.658] ,
典拠:NEW 外科学 2版 [64, p.699]

概念

門脈が血栓・腫瘍・寄生虫などによって閉塞して生じる。

原因

  • 日本住血吸虫症
  • 肝外門脈閉塞症 extrahepatic presinusoidal obstruction
    • 門脈血栓症
    • 先天性門脈閉塞症 congenital portal vein occlusion
      敗血症・膵炎・脱水などに起因する門脈血栓症であり、海綿状血管腫が特徴となる。

病態生理

  • 求肝性側副血行路
    閉塞した肝外門脈をバイパスして肝内門脈との交通が生じる。

15.1.1 肝外門脈閉塞症 extrahepatic presinusoidal obstruction

典拠:標準外科学 8版 [84, p.658]

概念

肝臓に至る手前の門脈が閉塞したため門脈圧亢進症をきたす病態をいう。成人よりも小児のほうが頻度が高い。

種類

  • 門脈血栓症
  • 先天性門脈閉塞症 congenital portal vein occlusion
    敗血症・膵炎・脱水などに起因する門脈血栓症であり、海綿状血管腫が特徴となる。

病態生理

  • 求肝性側副血行路
    閉塞した肝外門脈をバイパスして肝内門脈との交通が生じる。
  • 門脈圧亢進症
    閉塞部位から上流の門脈圧は亢進するが肝内門脈は病態に関与しないため、肝機能はよく保たれており、肝硬変にも発展しない。
    • 食道静脈瘤

検査所見

  • 経動脈性門脈造影
    • 海綿状血管増生 cavernous transformationx
      求肝性側副血行路である。

15.2 肝内性門脈圧亢進症 hepatic block portal hypertension

典拠:NIM 消化器病学 4版 [60, p.358]

概念

多くは肝硬変に起因し、門脈圧亢進症の原因として最大である。

分類

  • 門脈性
    • 特発性門脈亢進症,Banti 症候群
    • 日本住血吸虫症
  • 類洞性 sinusoidal
  • 肝静脈性

15.2.1 特発性門脈亢進症,Banti 症候群 idiopathic portal hypertension,IPH

典拠:標準外科学 8版 [84, p.655] ,
典拠:アトラス肝臓病 1版 [73, p.190] ,
典拠:病理学 [52, p.483] ,
典拠:最新内科学大全:肝硬変 [37, p.393]

概念

脾腫ならびに門脈圧亢進を示し、しかも原因が証明し得ないものをいう。多くは中年女性に見られる。門脈枝の閉塞による貧血性梗塞が見られ、類洞前性門脈圧亢進症に分類される。

病態生理

肝外門脈系には閉塞がなく、肝自体も肝硬変を示すことがないにもかかわらず、門脈圧亢進を来たしている。 * 脾機能亢進

症状

脾機能亢進や食道静脈瘤などの肝血流障害による門脈圧亢進を呈するが、肝実質障害はない。

  • 門脈圧亢進症状
    • 巨大脾腫
    • 食道静脈瘤
  • 貧血

検査所見

肝機能はほぼ正常である。

病理所見

門脈域に軽度の線維化が見られるのみで、肝小葉の構造は保たれるなど、肝硬変を呈していない。 * 異所性門脈形成

15.3 肝後性門脈圧亢進症 posthepatic portal hy- pertension

典拠:NEW 外科学 2版 [64, p.699]

15.3.1 Budd-Chiari syndrome

典拠:組織病理アトラス [82, p.112] ,
典拠:Diagnosis And Treatment In Gastroenterology [10, p.587] ,
典拠:標準外科学 8版 [84, p.432] ,
典拠:Concise Pathology [14, p.641] ,
典拠:最新内科学大全:肝硬変 [37, p.383] ,
典拠:腹部画像診断学 1 版 [89, p.12]

概念

肝外肝静脈、特に肝部下大静脈の閉塞によって肝臓の鬱血や門脈圧亢進をきたす肝後性門脈亢進症の総称である。

原因

  • 先天性形成異常
  • 後天性
    • 血栓症
      • 血栓性静脈炎
      • 発作性夜間ヘモグロビン尿症
    • 悪性腫瘍
      肝細胞癌による肝静脈閉塞が多い。
    • 外傷

病態生理

  • 門脈圧亢進症
    • 鬱血性肝硬変
    • 食道静脈瘤
    • 著明な腹水
  • 下腿鬱血

症状

  • 腹壁皮下静脈の怒張 (メデューサの頭) が特徴的である
    肝硬変などによって門脈の閉塞が生じると、門脈血は肝円索内の臍旁静脈から腹壁の皮静脈を経て上大静脈・下大静脈に流入するようになる。このときに臍の周辺の皮静脈に放射状の拡張が見られ、これをメデューサの頭という。なお肝静脈から見て左胃静脈は臍静脈よりも遠いため、食道静脈瘤は末期に発現する。
  • 下肢鬱血
    下肢浮腫から下肢静脈瘤となり、進展すると下腿潰瘍を生じる。

検査所見

  • 下大静脈造影 下大静脈の閉塞が見られる。
  • 肝生検 本症の診断に重要である。

病理所見

中心性の鬱血と門脈の拡大を認める。

  • centrilobular sinusoidal dilatation
    中心静脈の類洞に赤血球が詰って鬱血を呈する。

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