medical praxis - web版 医学ノート - 国家試験対策

学問の上で大いに忌むべきは、したり止めたりである。したり止めたりであれば、ついに成就することはない。

スポンサードリンク

肝胆膵 17 アルコール性肝障害

スポンサードリンク

→ 肝胆膵系 目次

Chapter 17 アルコール性肝障害

典拠:アルコール・薬物関連障害の診断・治療ガイドライン [80, p.110] ,
典拠:Diagnosis And Treatment In Gastroenterology [10, p.527] ,
典拠:最新内科学大全:肝癌 [35, p.27],
典拠:NIM 消化器病学 4版 [60, p.479]

種類

  • アルコール性脂肪肝
    アルコールの酸化のために肝臓内の酵素が還元型に傾き、脂肪酸のβ酸化が阻害されて肝細胞内に脂肪酸の前駆体である中性脂肪が蓄積する。
  • アルコール性肝炎
  • アルコール性肝硬変

病態生理

  • アルコール自体の毒性
    アルコールはミトコンドリア内まで障害をおよぼし、AST-m が逸脱してくる。
  • 肝線維増生
  • 発ガン物質の生成促進
    長期のアルコール摂取によって肝臓のマイクロゾーム内酵素 (シトクロムP450) が誘導されることが関係している。

症状

  • 肝腫大
    脂肪肝、肝炎に発展すると見られる所見である。

検査所見

  • 電解質異常
    栄養障害により、低ナトリウム血症・低カルシウム血症・低カリウム血症・低マグネシウム血症などを呈する。
  • γ-GTP の異常高値
  • 血清 IgA の上昇
  • AST/ALT 比の上昇
    エタノールによって肝臓での ALT 合成が阻害され、かつ障害がミトコンドリアに及んで AST-m が逸脱するために AST/ALT 比が上昇する。

治療

禁酒によって速やかに改善される。

17.1 アルコール性脂肪肝 alcoholic fatty liver

典拠:Diagnosis And Treatment In Gastroenterology [10, p.527] ,
典拠:NIM 消化器病学 4版 [60, p.491]

病態生理

アルコールを過剰摂取すると過剰なエタノールをアセトアルデヒドへ還元するが、この反応で NADH/NAD 比が増加する。するとクエン酸回路の回転が鈍り、ひいては脂肪酸の酸化も滞り、かわって脂肪のエステル化が起こる。その結果、肝内脂肪沈着が生じる。

検査所見

ChE 低下

治療

断酒のみが有効な治療法である。

17.2 アルコール性肝炎 alcoholic hepatitis

典拠:アルコール・薬物関連障害の診断・治療ガイドライン [80, p.110] ,
典拠:Diagnosis And Treatment In Gastroenterology [10, p.527] ,
典拠:組織病理アトラス [82, p.121],
典拠:NIM 消化器病学 4版 [60, p.492]

概念

アルコールによって肝細胞の変性・壊死が生じ、急性の肝障害を来たした ものをいう。アルコール性脂肪肝からアルコール性肝硬変への過渡的な状 態である。感染の合併に伴なう炎症所見が特徴的である。

病態生理

  • P450 酵素誘導
    アルコールによって P450 が誘導される薬物の代謝が亢進し、毒性産物が蓄積する。
  • 活性酸素誘導
    アルコールは細胞内を酸化して活性酸素の産生を亢進する。
  • アセトアルデヒドによる障害
    アセトアルデヒドは脂肪酸代謝を阻害するほか、アセトアルデヒドの関連物質が肝細胞内のタンパクを変性して免疫力低下をもたらす。
    • アルコール性脂肪肝
      アルコールを過剰摂取すると過剰なエタノールをアセトアルデヒドへ還元するが、この反応で NADH/NAD 比が増加する。すると クエン酸回路の回転が鈍り、ひいては脂肪酸の酸化も滞り、かわって脂肪のエステル化が起こる。

症状

  • 肝腫大
    脂肪の蓄積に加えて肝細胞自体の膨化によって肝臓が著明に腫大し、 しばしば圧痛を伴なう。
  • 急性感染症状
    栄養不良のために感染を起こしやすく、発熱や白血球の増加が見られる点が特徴的である。

検査所見

  • 逸脱酵素
    • AST/ALT 比の上昇
      エタノールによって ALT 合成が阻害され、かつ障害がミトコンドリアに及んで AST-m が逸脱するために AST/ALT 比が上昇す る。本症では比が 2 以上となる。
    • γ GTP 上昇
  • 高γグロブリン血症
    • 血清 IgA 上昇
      肝臓および血中の大腸菌由来のエンドトキシンが関与していると考えられている。
  • 白血球増加
    本症に比較的特徴的な所見である。
  • プロトロンビン時間延長

合併症

  • 脂肪肝
  • 肝腎症候群

病理所見

  • 脂肪変性 steatosis
  • 肝細胞の風船様変化
    アセトアルデヒドによって肝細胞内の微小管が障害され、細胞内にタンパクが貯留して風船状に膨張する。その核の周辺にアルコール硝子体 alcoholic hyaline, マロリー小体 Mallory hyaline が見られる。
  • 好中球浸潤を伴う肝細胞壊死
  • 小葉中心性線維化
    中心静脈周囲に線維化をきたすのが特徴である。

治療

断酒に加え、高タンパク、高ビタミン食、肝庇護剤、胎盤加水分解物、グルタチオンなどの点滴、ウルソデスオキシコール酸、グリチルリチンなどの内服) の投与を行なう。

17.3 アルコール性肝硬変 alcoholic cirrhosis

典拠:Concise Pathology [14, p.650] ,
典拠:組織病理アトラス [82, p.121] ,
典拠:Diagnosis And Treatment In Gastroenterology [10, p.527] ,
典拠:Harrison 11 [5, p.1342],
典拠:NIM 消化器病学 4版 [60, p.493]

概念

アルコール性肝障害の終末像である。

検査所見

  • AST/ALT 比の上昇
    エタノールによって ALT 合成が阻害され、かつ障害がミトコンドリア に及んで AST-m が逸脱するために AST/ALT比が上昇する。

合併症

肝炎ウイルス感染に合併したアルコール性肝硬変では肝細胞癌の危険率が高くなる。

病理所見

  • 丙型 F type を呈する。
    乙型に似た微細な肝小葉の中に多量の脂肪沈着が見られるもので、ア ルコール性肝硬変の特徴的な病理像である。
    • 肝細胞の風船様変化
      アセトアルデヒドによって肝細胞内の微小管が障害され、細胞内にタンパクが貯留して風船状に膨張する。その核の周辺にアルコール硝子体 alcoholic hyaline, マロリー小体 Mallory hyaline が 見られる。
    • pericellular fibrosis
    • central hyaline necrosis

↑ トップページ → 肝胆膵系 目次