読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

medical praxis - web版 医学ノート - 国家試験対策

学問の上で大いに忌むべきは、したり止めたりである。したり止めたりであれば、ついに成就することはない。

スポンサードリンク

肝胆膵 24 高ビリルビン血症,黄疸

スポンサードリンク

→ 肝胆膵系 目次

Chapter 24 高ビリルビン血症,黄疸 hyperbilirubinemia,jaundice

典拠:NIM 消化器病学 4版 [60, p.323] ,
典拠:Harrison11 [5, p.1320] ,
典拠:病理学 [52, p.60] ,
典拠:最新内科学大系:主要症候 [48, p.311]

概念

血中ビリルビンが 1.2[mg/dL] 以上となったもので、2[mg/dL] 以上になると症状として顕性黄疸が生じる。

黄疸の分類

黄疸をその原因部位によって分類する

  • 肝前性黄疸, 溶血性黄疸 prehepatic jaundice
    何らかの原因によって過剰な溶血が起こり、肝臓のマクロファージの処理能力を越えるビリルビンが産生されると、非抱合型の間接ビリルビン性黄疸が生じる。
    • 新生児黄疸
      新生児ではグルクロン酸転移酵素の活性が十分に成熟していないため、生後 1 週目頃をピークにして血中に非抱合型ビリルビンが増加する。
    • 特発性新生児高ビリルビン血症
    • 溶血性貧血
  • 肝性黄疸, 肝細胞性黄疸 hepatic jaundice
    肝細胞のビリルビン代謝が障害されて生じる。先天的なビリルビン代謝の異常や肝炎などで肝細胞が障害された場合に生じる。
    • Gilbert disease
      肝臓でのビリルビンの取り込み障害によって、血中に非抱合型ビ リルビンが増加する。
    • Crigler-Najjar syndrome
      グルクロン酸転移酵素の先天的な欠損によりビリルビンの抱合が 行われず、非抱合型ビリルビンが血中に増加する。
    • Dubin-Johnson syndrome
      胆管へのビリルビン排泄障害によって、血中に抱合型ビリルビン が増加する。
    • Rotor syndrome
      先天性の ICG 排泄障害である。
  • 肝後性黄疸, 閉塞性黄疸 posthepatic jaundice
    胆道閉塞に起因する黄疸。胆汁が鬱滞し、逆流して血中に抱合型ビリルビンが増加する。新生児では先天性胆道閉鎖症があり、新生児の閉塞性黄疸の大部分を占める。
    • 肝内胆汁鬱滞性黄疸
      肝臓内の毛細胆管の閉塞によって抱合型ビリルビンが鬱滞したも の。原発性胆汁性肝硬変 PBC が代表例。
    • 肝外胆汁鬱滞性黄疸
      肝臓外の総胆管などが閉塞して胆汁の排泄遅延から黄疸を生じた もの。

症状

  • 眼球結膜の黄染
    黄染は特に眼球結膜の周辺で顕著である。

24.1 肝前性黄疸, 溶血性黄疸 prehepatic jaundice

概念

何らかの原因によって過剰な溶血が起こり、マクロファージによって肝臓の処理能力を越えるビリルビンが産生された結果として生じる黄疸。非抱合型の間接ビリルビンが増加する。

種類

  • 新生児黄疸
  • 特発性新生児高ビリルビン血症
    基礎疾患のない高間接ビリルビン血症である。

24.1.1 新生児黄疸 neonatal jaundice,icterus neonatorum

典拠:病態生理できった小児科学 [51, p.88] ,
典拠:標準小児科学 3 版 [69, p.116] ,
典拠:Nelson: Pediatrics. 16ed [4, p.515]

種類

  • 生理的黄疸
    新生児は生理的に多血症であり、かつグルクロン酸転移酵素の活性が 十分に成熟していないため、生後 2 日頃に血中に非抱合型ビリルビンが増加し、黄疸が出現する。ピークの 3 日頃を過ぎるころから減弱し、生後 1 週間頃には消退する。
  • 母乳黄疸
    母乳に含まれるホルモンがグルクロン酸転移酵素を阻害するために生 じる。
  • 血液型不適合
    血液型不適合によって母体で産生された抗体が胎児に溶血を生じ, その結果として非抱合型ビリルビンが増加する。
  • 核黄疸 kernicterus,nuclear icterus
    新生児期に大脳基底核に脂溶性である非抱合型ビリルビンが沈着する疾患。

24.2 肝性黄疸, 肝細胞性黄疸 hepatic jaundice

典拠:最新内科学大全:肝機能不全 [36, p.84]

概念

肝細胞のビリルビン代謝が障害されて生じる。先天的なビリルビン代謝の異常や肝炎などで肝細胞が障害された場合に生じる。

分類

  • 体質性黄疸
    黄疸を唯一の症状とする遺伝性疾患である。
    • Gilbert disease
      肝臓でのビリルビンの取り込み障害によって、血中に非抱合型ビ リルビンが増加する。
    • Crigler-Najjar syndrome
      グルクロン酸転移酵素の先天的な欠損によりビリルビンの抱合が 行われず、非抱合型ビリルビンが血中に増加する。
    • Dubin-Johnson syndrome
      胆管へのビリルビン排泄障害によって、血中に抱合型ビリルビン が増加する。
    • Rotor-Schiff syndrome
      先天性の ICG 排泄障害をきたす、常染色体劣性遺伝病である。症 状および検査所見は Dubin-Johnson syndrome に類似するが、色素沈着は見られない。

24.2.1 ジルベール症候群, 家族性非溶血性黄疸 Gilbert disease

典拠:Diagnosis And Treatment In Gastroenterology [10, p.469] ,
典拠:NIM 消化器病学 4 版 [60, p.332]

概念

肝臓におけるビリルビンの取り込み障害によって、血中に非抱合型ビリルビンが増加する。 ビリルビンの取り込み能以外の肝機能は正常であるため、本症は疾病というよりも遺伝的多型に過ぎないと捉えることもできる。

症状

軽度の黄疸以外には症状を示さないことが多い。家族性が見られるのも特徴である。

検査所見

ビリルビンの取り込み能以外の肝機能は正常である。溶血性貧血との鑑別は本症では AST の上昇が見られない点が有用である。

  • 低カロリー試験
    摂取カロリーを 400[kcal/day] に制限すると黄疸が顕著に増強する。

治療

予後良好で治療の必要はないことが多い。強い黄疸に対してはフェノバルビタールで黄疸が軽減する。

  • 薬物療法
    • フェノバルビタール
      もともとはてんかん治療薬であるが、ビリルビン抱合酵素を誘導する作用があると考えられている。

24.2.2 Crigler-Najjar syndrome

典拠:標準小児科学 3 版 [69, p.182] ,
典拠:Diagnosis And Treatment In Gastroenterology [10, p.647]

概念

グルクロン酸転移酵素の先天的な欠損によりビリルビンの抱合が行われず、非抱合型ビリルビンが血中に増加する遺伝性疾患である。

病型

  • I 型
    先天的にグルクロン酸転移酵素が完全に欠損している常染色体劣性遺 伝病。生後まもなく核黄疸 kernicterus を呈し、予後不良。
  • II 型
    先天的にグルクロン酸転移酵素の活性が正常値の 1/10 程度に落ちて いる常染色体優性遺伝病である。フェノバルビタールの投与で酵素が活性化されるため予後良好である。

症状

  • 黄疸
    生後数日を経て著明な黄疸を生じ、続いて核黄疸による神経症状が出現する。

24.2.3 Dubin-Johnson syndrome

典拠:標準小児科学 3 版 [69, p.183] ,
典拠:Nelson: Pediatrics. 16ed [4, p.1207]

概念

肝細胞から胆管へのビリルビン排泄が障害され、血中に直接ビリルビンが増加する常染色体劣性遺伝病である。

症状

思春期頃に軽度の黄疸で発症するが、体質性黄疸に留まる。

検査所見

  • Mandema 試験
    BSP を静注すると肝臓でグルクロン酸抱合をなされるため一時的に血中濃度が減少するが、毛細胆管に分泌されないために再び血中のBSP が上昇する。

24.2.4 Rotor syndrome

典拠:NIM 消化器病学 4版 [60, p.333]

概念

Dubin-Johnson 症候群と同じく、肝細胞から胆管へのビリルビン排泄が障害されて血中に直接ビリルビンが増加する先天性疾患である。検査上はICG 排泄障害が特徴となる。

症状

幼少から軽度の黄疸を指摘されるが、それ以外に症状はない。

検査所見

  • 高ビリルビン血症
    直接ビリルビン優位である。
  • ICG 排泄遅延
  • 尿中コプロポルフィリン上昇

治療

予後良好であり、治療の必要はない。

24.3 肝後性黄疸, 肝外胆汁鬱滞症 posthepatic jaun- dice

典拠:医学生・研修医のための消化器病学 [57, p.219]

概念

肝門部胆管から Vater 乳頭に至る肝外胆管の閉塞に起因する黄疸である。胆汁が鬱滞し、逆流して血中に抱合型ビリルビンが増加する。新生児では特に先天性胆道閉鎖症が新生児の閉塞性黄疸の大部分を占める。

分類

  • 肝内胆汁鬱滞性黄疸
    肝臓内の毛細胆管の閉塞によって抱合型ビリルビンが鬱滞したもの。 原発性胆汁性肝硬変 PBC が代表例。
  • 肝外胆汁鬱滞性黄疸
    肝臓外の総胆管などが閉塞して胆汁の排泄遅延から黄疸を生じたもの。 膵頭癌・胆管癌・胆石症などが原因となる。
    • Mirizzi 症候群
      胆嚢頸部の胆石あるいは炎症性の壁の肥厚によって総肝管を圧迫 し、黄疸が出現するもの。
    • Lemmel 症候群
      十二指腸の傍乳頭部の憩室が胆管あるいは膵管を圧迫し、胆管炎・ 胆石症・膵炎などの病態を惹起することをいう。

症状

  • 白色便
  • Courvoisier 徴候
    胆嚢より下流の胆管が閉塞すると胆汁が鬱滞して胆嚢が腫大するため、 触診によって腫大した胆嚢を触れることができる。
  • 黄色腫

検査所見

  • 尿ビリルビン値が陽性
    抱合型ビリルビンは水溶性なので量が増加すると尿中に排泄されるよ うになる。
  • 尿中ウロビリノーゲンが陰性
    鬱滞性黄疸では十二指腸にビリルビンを排泄できないため、尿中のウ ロビリノーゲン量が低下する。 もともとウロビリノーゲンは、腸内細菌の働きで抱合型ビリルビンが そのグルクロン酸を除去されてできたものである。大部分は便中に排泄されるが少量は腸管から血中に移行して尿中に排泄される。
  • 胆道造影
    なお胆道閉鎖の場合には静脈性胆道造影では胆嚢は描出されないため、 無効である。
    • 経皮経肝胆道造影 PTC
    • MR cholangiopancreatography, MRCP
      MRI を用いて胆道系と膵管を三次元表示する検査であり、胆道系 の閉塞がある本症でも有効である。
  • 肝エコー所見
    • 二連銃 double shotgun sign
      拡張した総胆管が門脈に並行して走るためショットガンの銃身の ように見える所見である。
  • 高コレステロール血症

治療

まず最初に行なうべきことは減黄である。

  • 経皮経肝的胆道ドレナージ PTCD

24.3.1 閉塞性黄疸 cholestatic jaundice

典拠:CMDT2003 [26, p.628] ,
典拠:Clinical Diagnosis Management Laboratory Methods.20ed [23, p.274]

24.3.2 Mirizzi 症候群

典拠:NIM 消化器病学 4版 [60, p.616] ,
典拠:最新内科学大全:胆石・胆道癌 [38, p.283]

概念

胆嚢頸部の胆石あるいは炎症性の壁の肥厚が総肝管を圧迫し、黄疸が出現するもの。

症状

腹痛・発熱・黄疸をきたす。

検査所見

  • 腹部エコー所見
    拡張した肝内胆管と胆嚢内結石が見られる。

合併症

  • 急性閉塞性化膿性胆管炎

治療


↑ トップページ → 肝胆膵系 目次