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肝胆膵 32 胆石症 cholelithiasis, gallstones

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→ 肝胆膵系 目次

Chapter 32 胆石症 cholelithiasis, gallstones

典拠:CMDT2003 [26, p.657] ,
典拠:Lachman Case Studies Anatomy.1ed [30, p.200],
典拠:Pathophysiology [17, p.310] ,
典拠:Harrison11 [5, p.1359] ,
典拠:Diagnosis And Treatment In Gastroenterology [10, p.668] ,
典拠:標準外科学 8 版 [84, p.614] ,
典拠:NIM 消化器病学 4版 [60, p.576] ,
典拠:医学生・研修医のための消化器病学 [57, p.302] ,
典拠:NEW 外科学 2 版 [64, p.639]

概念

胆道系に結石が生じたもの。肥満の中年女性に好発する。

胆石の分類

  • コレステロール胆石
    全体の 70%程度を占める。
    • 純コレステロール石
      コレステロールを主成分とする胆石で、割面が放射状を呈する。
    • 混成石
      割面で明らかに内層と外層を区別できる胆石である。胆嚢に単発することが多い。
    • 混合石
      割面にて放射状構造と層状構造が混在しているものをいう。
  • ビリルビン胆石, 色素胆石 pigment stone
    全体の 30%程度を占める。
    • 黒色石
      ビリルビンの重合体で構成される。
    • ビリルビンカルシウム石
      まず溶血性貧血などによって肝内にてビリルビン結石が形成され る。合併した細菌感染によって細菌の持つβグルコニダーゼの作用で脱抱合化がなされるとカルシウムと結合してビリルビンカルシウム石がビリルビン結石のまわりに形成される。
  • その他
    • 炭酸カルシウム石
    • 脂肪酸カルシウム石

病因

  • コレステロール胆石の場合
    胆汁酸と lecithin の供給不足もしくはコレステロール合成の亢進に起因する。
  • 色素胆石の場合
    ビリルビンカルシウム石は溶血性貧血などによる遊離型ビリルビンの増加に起因する。

原因

  • 胆汁鬱滞
    • 肝硬変
    • 胃切除術後
      迷走神経が切断されると胆嚢の弛緩を生じ、胆汁鬱滞によって細菌感染を合併する。したがって組成としてはビリルビンカルシウム石が多い。
  • 溶血性貧血
  • クローン病
    回腸がおかされると胆汁酸の腸管循環が障害されて胆石を生じやすくなる。

症状

多くは無症状である。

  • Charcot の三徴
    発熱・腹痛・黄疸を呈する。
  • 胆石疝痛発作 biliary colic
    激烈な上腹部痛が発作的に生じ、しばしば右肩や背部に放散する。
  • Murphy 徴候
    右季肋部を圧迫したまま深呼吸させると、痛みのために途中で呼吸が停止する。

検査所見

  • 腹部エコー
    高エコーな胆石のあとに音響陰影 acoustic shadowing が見えることが特徴的である。特にコレステロール結石で顕著である。なお胆嚢周囲に嚢胞が見える場合は急性胆嚢炎を合併している。
  • 間接胆道造影法, 静脈性胆道造影, 排泄性胆道造影法
    描出された胆嚢のなかに胆石による欠損像を認める。

合併症

  • 急性胆嚢炎
  • 胆道感染
  • 胆嚢水腫
    胆石嵌頓によって胆嚢頸部の閉塞が長く続いたために胆嚢内の胆汁の色素が吸収され、胆嚢内に無色の白色胆汁が充満している状態である。
  • 胆石イレウス
    内胆汁瘻から腸管内に脱出した巨大胆石によるイレウスである。通常、回盲弁で嵌頓する。
  • 胆嚢癌
  • 急性膵炎
    胆石が総胆管と膵管の合流部である共通管に嵌頓すると、オッデイ括約筋の逆流防止機能が障害されて胆汁が膵管内に逆流する (胆汁逆流説)。胆汁は膵液内のホスホリパーゼA2 を活性を増強させ、細胞膜を障害する。

治療

  • 非観血的治療
    • 経口的胆石溶解療法
      コレステロール胆石に対して胆汁酸の一種であるウルソデオキシコール酸を投与する。大きくないコレステロール結石で壁から遊離しているタイプが適応となる。
    • 体外衝撃波胆石破砕療法 extracorporeal shock wave lithotripsy, ESWL
      破砕後は経口胆石溶解剤にて溶解することが必須であるため、その適応はコレステロール胆石に限定される。
    • 内視鏡的乳頭括約筋切開術 EST
      Vater乳頭を切開し、この部より内視鏡を挿入し、カテーテルを用いて胆管内の結石を除去する。
    • 内視鏡的砕石術
    • 経皮経肝的内視鏡下結石除去術
      肝内結石が適応となる。
  • 観血的治療
    • 開腹手術
      胆石生成の場を摘出することが目的であり、胆嚢胆石では胆嚢を、 肝内胆石では肝葉切除が施行されることもある。
    • 腹腔鏡下胆嚢摘出術 laparoscopic cholecystectomy

32.1 コレステロール胆石 cholesterol gallstone

典拠:標準外科学 8 版 [84, p.614] ,
典拠:NIM 消化器病学 4版 [60, p.576]

概念

コレステロールを成分とする胆石であり、多くは胆嚢内に形成される。

分類

  • 純コレステロール石
    コレステロールを主成分とする胆石で、割面が放射状を呈する。
  • 混成石
    割面で明らかに内層と外層を区別できる胆石である。胆嚢に単発することが多い。
  • 混合石
    割面にて放射状構造と層状構造が混在しているものをいう。

病因

胆汁酸と lecithin の供給不足もしくはコレステロール合成の亢進に起因する。通常の場合ではコレステロールは胆汁酸とレシチンによるミセル構造によって胆汁中に溶解している。ゆえに胆汁酸とレシチンが不足するとコレステロールが析出する。

検査所見

  • 胆嚢造影所見
    立位にて帯状浮遊陰影欠損像、臥位にて蜂巣状陰影欠損像となる。

治療

  • 薬物治療
    • 経口的胆石溶解療法
      コレステロール胆石に対して胆汁酸の一種であるウルソデオキシコール酸を投与する。大きくないコレステロール結石で壁から遊離しているタイプが適応となる。
  • 非観血的治療
    • 体外衝撃波胆石破砕療法 extracorporeal shock wave lithotripsy, ESWL
      破砕後は経口胆石溶解剤にて溶解することが必須であるため、その適応はコレステロール胆石に限定される。
    • 内視鏡的乳頭括約筋切開術 EST
    • 内視鏡的砕石術

32.2 ビリルビン胆石症, 色素胆石 pigment gallstone

典拠:最新内科学大全:胆石・胆道癌 [38, p.158]

種類

  • 黒色石 black pigment stone
    ビリルビンの重合体で構成される。慢性的な溶血のために間接ビリルビンが析出し、胆嚢で結石を形成する。原疾患としては肝硬変などの慢性肝障害や心臓弁膜置換術後などが多い。
  • ビリルビンカルシウム石 brown pigment stone
    大腸菌感染などを伴なう胆嚢・胆管内・肝内で生成される。まず溶血性貧血などによって肝内にてビリルビン結石が形成される。合併した細菌感染によって細菌の持つβグルコニダーゼの作用で脱抱合化がなされるとカルシウムと結合してビリルビンカルシウム石がビリルビン結石のまわりに形成される。したがって割面は層状を呈する。

原因

  • 溶血性貧血
    • 遺伝性球状赤血球症

32.2.1 ビリルビンカルシウム石 brown pigment stone

典拠:NIM 消化器病学 4版 [60, p.579]

概念

ビリルビンカルシウムを成分とし、割面が層状を呈する色素胆石をいう。

原因

大腸菌感染などを伴なう胆管内で生成される。
まず溶血性貧血などによって肝内にてビリルビン結石が形成される。細菌感染を合併すると細菌の持つβグルコニダーゼの作用によって抱合型ビリルビンが脱抱合化がなされ、カルシウムと結合してビリルビンカルシウム石がビリルビン結石のまわりに形成される。

  • 胃切除術後
    迷走神経が切断されると胆嚢の弛緩を生じ、胆汁鬱滞によって細菌感染を合併する。したがって組成としてはビリルビンカルシウム石が多い。

検査所見

  • 胆道造影
    胆管内にあってしばしば明らかな胆石像を示さずに、胆管の拡張像のみを呈することが多い。

32.3 胆石イレウス

典拠:標準外科学 8 版 [84, p.617]

概念

内胆汁瘻から腸管内に脱出した巨大胆石によるイレウスである。通常、回盲弁で嵌頓する。

検査所見

  • 腹部単純 X 線所見
    • niveau
    • 胆管内ガス像 pneumobilia
      これは胆道と消化管との内瘻を介して消化管内のガスが胆管内に入ったものである。

32.4 胆嚢胆石, 胆嚢結石

典拠:標準外科学 8 版 [84, p.616] ,
典拠:最新内科学大全:胆石・胆道癌 [38, p.58]

概念

胆嚢内に胆石を生じたものであるが、特にコレステロール結石が単発することが多い。

症状

  • 疝痛発作
    食後などに右季肋部痛をきたす。

検査所見

純コレステロール結石は水を同じ CT 値を示すので腹部 CT では検出しにくい。

  • 腹部エコー
    胆嚢内に音響陰影を伴なった結石が認められる。
  • 胆道造影
    結石による胆嚢内の陰影欠損像が見られる。ただし胆石が胆嚢頸部に嵌頓していれば胆嚢は造影されない。

合併症

  • 胆嚢癌
    胆石によって生じた慢性炎症が上皮の異形成をもたらすと考えられている。

治療

  • 薬物治療
    急性期には鎮痛目的で抗コリン薬が投与される。
    • 経口的胆石溶解療法
      コレステロール胆石に対して胆汁酸の一種であるウルソデオキシコール酸を投与する。大きくないコレステロール結石で壁から遊離しているタイプが適応となる。
    • 利胆薬, 利胆剤
      胆汁流出を促進させる薬物である。
  • 非観血的治療
    • 体外衝撃波胆石破砕療法 extracorporeal shock wave lithotripsy, ESWL
      破砕後は経口胆石溶解剤にて溶解することが必須であるため、その適応はコレステロール胆石に限定される。
  • 胆嚢摘出術
    胆石生成の場であり、かつ炎症の場ともなる胆嚢を摘出することが根治的である。
    • 腹腔鏡下胆嚢摘出術

32.5 肝内胆石, 肝内結石 hepatolithiasis

典拠:標準外科学 8 版 [84, p.616]

概念

肝管合流部よりも肝側の肝管、肝内胆管に結石が見られるものをいう。拡張した肝管に胆汁が鬱滞し、そこに感染が成立して生じるので、大部分はビリルビンカルシウム結石である。

治療

  • 内視鏡的治療
  • 開腹術
    • 肝葉切除術

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