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肝胆膵 33 胆嚢および胆道系の腫瘍

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→ 肝胆膵系 目次

Chapter 33 胆嚢および胆道系の腫瘍

典拠:Diagnosis And Treatment In Gastroenterology [10, p.688]

胆道系腫瘍の特徴

  • 悪性腫瘍では腺癌が多い

胆道系

  • 良性腫瘍
    • 乳頭腫
    • 腺腫
    • 腺筋腫 adenomyoma
  • 悪性腫瘍
    • 腺癌
    • 腺扁平上皮癌
    • 扁平上皮癌
    • 未分化癌

胆嚢系

胆道系の腫瘍の多くは胆管よりも胆嚢に発生する。

  • 良性腫瘍
  • 悪性腫瘍

乳頭部癌

33.1 胆道癌

概念

狭義の胆道癌は、肝外胆道系に発生した癌腫を意味する。いっぽうで肝内胆管癌は原発性肝癌に分類される。

分類

  • 胆管癌
  • 胆嚢癌
  • 乳頭部癌
    切除しやすいため予後良好。便潜血陽性。

検査所見

  • 腫瘍マーカー
    • CEA
    • CA19-9 のほうが陽性率が高い

33.1.1 胆嚢癌 gallbladder cancer

典拠:標準外科学 8 版 [84, p.622] ,
典拠:Diagnosis And Treatment In Gastroenterology [10, p.688] ,
典拠:NIM 消化器病学 4版 [60, p.597] ,
典拠:NEW 外科学 2版 [64, p.646]

概念

胆嚢に原発した腺癌で、高齢女性に多い。胆嚢内隆起性病変を形成し、胆管を圧迫すると黄疸を生じる。胆嚢壁は粘膜筋板を欠き、リンパ管に富むため、容易に周辺臓器やリンパ節転移を起こしやすい。

原因

  • 胆石症, 胆嚢結石
    特にコレステロール結石が多い。胆石によって生じた慢性炎症が上皮の異形成をもたらすと考えられている。
  • 膵胆管合流異常
    膵液の逆流によって胆嚢の粘膜の化生を来たす。なかでも胆道非拡張例に多い。

症状

胆石や胆嚢炎などの合併症による症状が多い。

  • 右季肋部の腹痛
  • 発熱
  • 黄疸

検査所見

  • 腹部エコー
    胆嚢内隆起性病変として描出される。胆石と異なり、表面不整な腫瘤影が胆嚢壁から突出した所見を得る。胆嚢ポリープとの鑑別は困難であるが、径が 1cm を超えるものや広基性のものは癌の疑いが強い。
  • 超音波内視鏡

治療

リンパ節郭清が必要となるので腹腔鏡下ではなく、原則として開腹手術を行なう。

  • 外科療法
    • 単純胆嚢摘出術

33.1.2 胆管癌 bile duct cancer

典拠:標準外科学 8版 [84, p.623] ,
典拠:最新内科学大全:胆石・胆道癌 [38, p.278] ,
典拠: 最新内科学大全:肝癌 [35, p.213]

概念

胆管癌とは肝外の胆管上皮細胞に原発する癌腫であり、男性の下部胆管に多い。ほとんどが腺癌である。

種類

  • 総胆管癌

症状

  • 初発症状は腹痛や腹部膨満など
  • 胆管狭窄による黄疸
  • 胆管狭窄による胆管炎によって発熱を来たす
  • Courvoisier 徴候
    胆嚢より下流の胆管が閉塞すると胆汁が鬱滞して胆嚢が腫大するため、 触診によって腫大した胆嚢を触れることができる。典型的には右肋骨弓下に鶏卵大の腫瘤を触知する。したがって癌腫が総肝管より上流の 胆道系に生じた場合には胆嚢はむしろ萎縮するため、Courvoisier 徴候は生じない。

検査所見

  • 胆道造影
    ERCP と PTC による挟み打ち造影により病巣部位を把握する。
    • 内視鏡的逆行性胆管膵造影法 ERCP
    • 経皮経肝胆道造影 PTC
  • 超音波検査
  • 腫瘍マーカー
    • CEA
      胎児消化管粘膜と共通の抗原性を有する糖タンパクであり、多くの消化管悪性腫瘍で上昇する。
    • CA19-9
      特に胆道閉鎖によって著明に上昇する。
    • 5”-nucleotid phosphodiesterase isozyme-V
      原発性肝癌、転移性肝癌で高頻度に上昇する。胆管癌でも上昇することがある。もともとは核酸の phosphodiester を加水分解してアルコールと 5”-ヌクレオチドに遊離させる核酸分解酵素であり、その第5分画が腫瘍マーカーとして優れている。転移性肝癌での感受性は CEA を上回る。
    • 可溶性 ICAM-1
      膵ガンや胆管癌で高頻度に上昇する。
    • 肝胆道系酵素
      • 5”-nucleotidase
        5”-nucleotidase は ALP などと同じ胆道系酵素であり、閉塞性黄疸や肝内胆汁鬱滞の際に上昇する。胆管癌や胆管結石による閉塞性黄疸で高度に上昇する。転移性肝癌で中等度に上昇する。
      • アルカリホスファターゼ ALP
        肝胆道系酵素として閉塞性黄疸の際に上昇する。

治療

  • 上部胆管癌
    肝門部切除あるいは肝葉切除が基本となる。
  • 中部胆管癌
    肝門部肝切除と膵頭十二指腸切除術を行なう。
  • 下部胆管癌
    膵頭十二指腸切除術が基本となる。

33.1.3 十二指腸乳頭部癌 carcinoma of the ampulla of Vater, ampullary carcinoma

典拠:Diagnosis And Treatment In Gastroenterology [10, p.696] ,
典拠:標準外科学 8版 [84, p.624] ,
典拠:最新内科学大全:胆石・胆道癌 [38, p.295] ,
典拠:最新内科学大全:膵腫瘍 [41, p.155]

概念

十二指腸乳頭部に原発する癌であり、組織学的にはほとんどが腺癌である。早期より黄疸などの症状が出現し、切除しやすいため予後良好である。

症状

早期より黄疸が出現する。ただし時として黄疸の消長が見られる。

  • 黄疸
  • Courvoisier 徴候
    胆嚢より下流の胆管が閉塞すると胆汁が鬱滞して胆嚢が腫大するため、 触診によって腫大した胆嚢を触れることができる。

検査所見

  • 便潜血陽性
  • 高ビリルビン血症
    ただしその値はしばしば変動するのが特徴である。
  • 低緊張性十二指腸造影 hypotonic duodenography
    乳頭部の不整像や腫瘤陰影が認められ、本症の診断に有効な検査である。

合併症

  • 閉塞性膵炎

治療

  • 膵頭十二指腸切除術 pancreatoduodenectomy
    膵頭部切除と十二指腸全摘に加えて胃亜全摘・総胆管切除・胆嚢摘出 を行なう。

33.2 胆嚢ポリープ biliary polyp

典拠:腹部画像診断学 1版 [89, p.79]

概念

胆嚢粘膜から出たポリープ様病変である。多くはコレステロールポリープであるが、大きなものや急速に増大するものは胆嚢癌の可能性を否定できない。ある報告では最大径が 1cm 以下の polypoid lesion の悪性率は 6%、1~1.5cm では 24%、1.5~2cm では 62%と言われる。

種類

  • コレステロールポリープ cholesterol polyp
    単純CT では胆汁とほぼ同じ吸収値を示すため、検出できない。
  • 過形成性ポリープ hyperplastic polyp
    形態的には癌との鑑別は困難である。
  • 炎症性ポリープ inflammatory polyp
    胆嚢炎に続発するポリープの総称である。

検査所見

  • 胆嚢エコー
    高エコーが多発するが、アコースティックシャドウは見られない。

治療

1cm 以上であれば胆嚢癌も可能性もあり、胆嚢摘出術の適応となる。


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