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medical praxis - web版 医学ノート - 国家試験対策

学問の上で大いに忌むべきは、したり止めたりである。したり止めたりであれば、ついに成就することはない。

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血液学 10 ヘモグロビン異常症

血液学 血液学-3.赤血球の異常
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→ 血液学 目次

Chapter 10 ヘモグロビン異常症

臨床上の分類

  • 溶血性貧血
    • 鎌状赤血球症 sickle cell disease (SCD)
    • 不安定 Hb 症 unstable Hb disease
  • メトヘモグロビン症
  • サラセミア症

10.1 鎌状赤血球症, HbS 症 sickle cell disease, SCD

典拠:Beck: Hematology [1, p.191] ,
典拠:ConcisePathology [13, p.395] ,
典拠:HematologyNMS [2, p.130] ,
典拠:三輪 - 血液病学 2版 [50, p.701] ,
典拠:エッセンシャル血液病学 [53, p.103] ,
典拠:NIM 血液病学 4版 [48, p.49]

定義

ヘモグロビンβ鎖の C末端から 6番目の Glu が Val に変換したことによる異常ヘモグロビン症。

分類

  • SS 病 HbS のホモ結合で症状がもっとも重く、成長や発達が妨げられ、感染症によって生後 1 年以内に半数が死亡する。
  • 鎌状赤血球素質
    HbS のヘテロ型で、症状は遥かに軽い。
    • SF
    • SA

病因

  • HbS ホモ接合体
  • HbS と他のβ鎖異常 Hb またはβサラセミアとの複合ヘテロ接合体
    HbS 分子が連結して束となって内側から赤血球膜を変形するために鎌状となる。

症状

酸素分圧が低下すると鎌状に変形し、微小血管を通過しにくく、貪食細胞 から攻撃されやすくなるため、次のような症状を呈する。

  • 微小梗塞 microscopic infarction
    微小血流閉塞による疼痛発作、梗塞、諸臓器の機能障害
  • 溶血性貧血
    鎌状赤血球は脾臓で破壊されて溶血性貧血を起こす。

合併症

  • 特発性大腿骨頭壊死
  • 急性骨髄炎

治療

今のところ、対症療法しかない。すなわち感染症を早期に発見し、適切な抗生剤を投与することや、葉酸欠乏に対して葉酸の補充を行うことなど。

10.2 不安定ヘモグロビン症 unstable hemoglobins

典拠:Beck:Hematology [1, p.200] ,
典拠: NIM 血液病学 4 版 [48, p.50]

概念

易変性性異常 Hb のヘテロ複合体に見られる溶血性疾患。ヘム結合部位にア ミノ酸の置換が生じて正常のヘモグロビン構造を維持できなくなった状態。

病因

ストップコドンの読み取り異常が多い。

病理

不安定になったヘモグロビンは容易にメトヘモグロビンへと酸化される。するとヘムが解離して、残余のグロビン鎖が Heinz body を形成する。

10.3 サラセミア thalassemia

典拠:ConcisePathology [13, p.397] ,
典拠:三輪 - 血液病学 2版 [50, p.594] ,
典拠:エッセンシャル血液病学 5版 [54, p.67] ,
典拠:血液細胞アトラス 4 版 [65, p.120]

概念

遺伝的欠陥のためにヘモグロビン合成の過程においてヘモグロビンを構成 するグロビン鎖間の合成不均衡を来たした疾患である。 遺伝性の溶血性貧血であり、抹消血に標的赤血球が出現するのが特徴である。

分類

  • αサラセミア
    グロビンα鎖の合成低下が本態である。α鎖は HbF と HbA の両方に含まれるため、αサラセミアは胎児期に発症する。
  • βサラセミア
    グロビンβ鎖の合成低下が本態であり、サラセミアでは最多である。 β鎖は HbA のみに含まれるため、出生後に発症する。HbA2 が増加 する。
  • δβサラセミア

病因

原因はグロビンをコードする染色体の遺伝子欠失、RNA の分離困難など。常染色体優性遺伝病である。

病態生理

グロビン鎖の合成低下による無効造血が病態の中核である。

  • 溶血性貧血

症状

  • 貧血
  • 黄疸
  • 脾腫
  • サラセミア様顔貌

検査所見

  • 小球性貧血
  • 抹消血所見
    • 標的赤血球 target cell,codocyte
      厚みが減り、中央でヘモグロビンが小山のように盛り上がった赤血球で、サラセミアや鉄欠乏性貧血においてみられる。特に本症で特徴的な所見である。
  • 血清鉄上昇

治療

根治的な治療法はまだない。重症例に対しては輸血を行なう。

10.4 遺伝性高胎児ヘモグロビン症 HPFH

典拠: 三輪 - 血液病学 2版 [50, p.609]

定義

成人型ヘモグロビンへの移行がうまくいかず、生後も胎児期と同様にγ鎖グロビンの産生が維持され、胎児ヘモグロビンが高値を示す疾患。

10.5 高メトヘモグロビン血症 methemoglobinemia

典拠:Beck:Hematology [1, p.184]

概念

ヘモグロビンは容易に酸化されて 3 価の鉄を持つメトヘモグロビンとなる。 これは酸素の運搬能を持たないため 生体内ではこの酸化型ヘモグロビンを還 元して元の通常ヘモグロビンに戻す系 NADPH-dependent methemoglobin reductase system が存在する。 しかし酸化剤の摂取や先天的な酵素欠損によってメトメモグロビンが体内に蓄積する。

分類

  • 先天性高メトヘモグロビン血症
  • 後天性高メトヘモグロビン血症
    • NO2 などの酸化剤によって HbM が産生される。
    • アニリン暴露による

病態生理

  • チアノーゼ

10.6 ポルフィリン症 porphyria

典拠:皮膚科学 6版 [57, p.342] ,
典拠:最新内科学大系:皮膚の疾患 [37, p.186]

概念

ヘム合成系に関与する酵素の異常によって、その中間代謝物であるポルフィリン体あるいはポルフィリン前駆体が生体内に蓄積することによって生じる。

症状

  • 皮膚症状
    皮膚に蓄積されたポルフィリン体が日光暴露によって光毒性反応を起こして皮膚症状が出現する。
  • 神経症状

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