読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

medical praxis - web版 医学ノート - 国家試験対策

学問の上で大いに忌むべきは、したり止めたりである。したり止めたりであれば、ついに成就することはない。

スポンサードリンク

血液学 15 巨赤芽球性貧血 megaloblastic anemia

スポンサードリンク

→ 血液学 目次

Chapter 15 巨赤芽球性貧血 megaloblastic anemia

典拠:Clinical Diagnosis Management Laboratory Methods. 20ed [21, p.545] ,
典拠:組織病理アトラス [71, p.437] ,
典拠:病態生理できった内科学:血液疾患 2 版 [47, p.40] ,
典拠:Beck:Hematology [1, p.84] ,
典拠:医学生・研修医のための血液病学 [45, p.37] ,
典拠:最新内科学大全:貧血・多血症 [35, p.158] ,
典拠:血液細胞アトラス 4 版 [65, p.130]

概念

DNA 合成障害により巨赤芽球が骨髄で増加する貧血の総称であり、赤芽球 の核が微細な網構造を示す。

病因

  • ビタミンB12 欠乏性巨赤芽球性貧血
    • 悪性貧血
      自己免疫により胃粘膜萎縮が生じ、内因子の分泌が低下してビタミンB12 の吸収障害が起こったもの。
    • 胃全摘術
      術後数年でビタミンB12 不足による貧血が生じる。
    • 盲端症候群 blind-loop syndrome
      盲端部分で増殖した細菌がビタミンB12 を消費してしまう。
  • 葉酸欠乏性巨赤芽球性貧血
    • 慢性アルコール中毒
    • 吸収不良症候群
    • ST 合剤
  • 先天性代謝異常

病態生理

  • 無効造血
    多くの血球細胞は成熟することなく、骨髄で破壊される。
  • 亜急性連合性脊髄変性症 subacute combined degeneration of spinal cord
    脊髄側索と後索の退行性変化による病変であり、ビタミンB12 欠乏によるメチオニン合成系の代謝異常に起因すると考えられている。

検査所見

  • 大球性貧血
  • 汎血球減少
    なかでも好中球の減少が著しい。
  • ビタミンB12 や葉酸が低値となる
  • 骨髄にて巨赤芽球の増加が見られる

病理所見

  • 末梢血所見
    • 大球性貧血
      大小不同の楕円赤血球が多数出現する。
    • 過分葉好中球
  • 骨髄所見
    • 巨赤芽球
      DNA合成の障害によって核の成熟が遅延するが、タンパク合成は正常であるために細胞質は成熟する。DNA 断片化による核クロマチンのびまん性の細かな結節が見られる。

15.1 ビタミンB12欠乏性巨赤芽球性貧血 cobalamine deficiency anemia

典拠:CMDT2003 [25, p.474] ,
典拠:Clinical Diagnosis Management Laboratory Methods.20ed [21, p.546] ,
典拠:最新内科学大全:貧血・多血症 [35, p.168]

概念

ビタミンB12 欠乏による巨赤芽球性貧血である。DNA合成障害により貧血をはじめとする汎血球減少を呈する。

原因

  • 悪性貧血
    自己免疫により胃粘膜萎縮が生じ、内因子の分泌が低下してビタミンB12 の吸収障害が起こったもの。
  • 胃全摘術
    術後数年でビタミンB12 不足による貧血が生じる。
  • 盲端症候群 blind-loop syndrome
    盲端部分で増殖した細菌がビタミンB12 を消費してしまう。

症状

ビタミンB12 は肝臓で大量に貯蔵されているため、術後 5~7 年を経過して初めて症状が出現する。 * 貧血症状 * 精神症状

合併症

  • 亜急性連合性脊髄変性症

治療

ビタミンB12 の静注を行なう。

15.1.1 悪性貧血 pernicious anemia, PA

典拠:Clinical Diagnosis Management Laboratory Methods. 20ed [21, p.546] ,
典拠:Beck:Hematology [1, p.109] ,
典拠:Concise Pathology [13, p.384] ,
典拠:Pathophysiology [15, p.111] ,
典拠:エッセンシャル血液病学 5 版 [54, p.54] ,
典拠:医学生・研修医のための血液病学 [45, p.37] ,
典拠:NIM 血液病学 4 版 [48, p.65] ,
典拠:最新内科学大全:貧血・多血症 [35, p.168]

概念

自己免疫により胃粘膜萎縮が生じ、内因子の分泌が低下してビタミン B12 の吸収障害が起こる、ビタミンB12 欠乏性巨赤芽球性貧である。

原因

  • ビタミンB12 吸収障害
    • 内因子抗体
    • 壁細胞抗体
      特にプロトンポンプを抗原としていると考えられる。

病態生理

  • DNA 合成障害
    ビタミンB12 は、ホモシステインをメチオニンに変換するさいに葉酸を活性化する反応を促進する補酵素として働く。そもそも活性型葉酸はチミンの材料となるので、ビタミンB12 の吸収障害をきたす本症で はチミン不足によって DNA 合成が障害される。
  • 大球性貧血
    本症の場合、赤芽球は骨髄にて巨赤芽球となるが、末梢血に出て網赤血球にはならない。
  • 無効造血
    巨赤芽球は未熟であるため末梢血に出現するまえに骨髄にて破壊される。臨床検査では間接ビリルビンや LDH の上昇として現れる。
  • 萎縮性胃炎
    胃粘膜が萎縮し、胃酸の分泌も減少する (無酸症)。

症状

  • 貧血症状
    DNA 代謝の障害により、赤血球系のみならず、白血球・血小板の変化も生じる。
  • 神経症状
    合併した亜急性連合性脊髄変性症による症状である。
    • 脊髄後索の障害による知覚異常
    • 脊髄側索の障害による歩行障害
  • ガストリンの分泌亢進
    胃粘膜の萎縮によって胃酸分泌が抑制されると負のフィードバック効果によってガストリンの分泌が亢進する。
  • Hunter舌炎 舌は平滑で発赤し、舌乳頭の萎縮が生じる。
  • 黄疸
    無効造血によって軽度の黄疸をきたす。
  • 白髪の増加

検査所見

  • 検血所見
    • 大球性貧血
    • 溶血による LDH の上昇と間接ビリルビンの増加
    • 汎血球減少 異常な血球は骨髄内で破壊される (髄内溶血, 無効造血) ため、汎血球減少を呈する。
  • Schilling 試験
    まずビタミンB12 の体内への吸収を測定し、次に内因子を結合させたビタミンB12 の体内への吸収を測定する。後者において吸収が促進されれば内因子の不足が明らかになる。
  • 内因子抗体陽性

合併症

胃癌の合併がもっとも重要であり、生命予後を左右する。 * 胃癌
したがって本症では上部消化管造影などを施行する必要がある。 * 亜急性連合性脊髄変性症 subacute combined degeneration of spinal cord
脊髄側索と後索の退行性変化による病変であり、ビタミンB12 欠乏によるメチオニン合成系の代謝異常に起因すると考えられている。

病理所見

  • 骨髄所見
    赤芽球系細胞の過形成、特に巨赤芽球が出現し、本症に特徴的な所見となる。
    • 巨赤芽球
      DNA 合成の障害によって核の成熟が遅延するが、タンパク合成は正常であるために細胞質は成熟する。DNA断片化による核クロマチンのびまん性の細かな結節が見られる。
  • 末梢血所見
    楕円型の大赤血球 macroovalocyte や過分節好中球 hypersegmented neutrophil が認められる。
    • Howell-Jolly 小体
      直径 1 μm ほどで濃紫色に染まった円形の構造物であり、核の遺残である。赤血球系の造血異常をきたす疾患で出現し、悪性貧血のほかにも骨髄異形成症候群やサラセミアで見られることがある。

治療

  • ビタミンB12 の静注
    吸収障害があるのだから経口投与ではなく静注を行う。なおビタミンB12 はレバーや卵黄などに多く含まれている。

15.2 葉酸欠乏性巨赤芽球性貧血,  葉酸欠乏性貧血 megaloblastic anemia due to folic acid deficiency

典拠:CMDT2003 [25, p.476] ,
典拠:Clinical Diagnosis Management Laboratory Methods. 20ed [21, p.548] ,
典拠:エッセンシャル血液病学 5 版 [54, p.55] ,
典拠:最新内科学大系:貧血・多血症 [35, p.188] ,
典拠:標準分子医化学 [67, p.92]

概念

葉酸の欠乏に起因する巨赤芽球性貧血である。

原因

  • 慢性アルコール中毒
  • 慢性肝疾患
    肝臓は葉酸を代謝し貯蓄する場だから。
  • 吸収不良症候群
  • 薬剤性
    • 抗痙攣薬
      • フェニトイン
    • ST 合剤
    • 経口避妊薬
    • メトトレキセート
      ジヒドロ葉酸の類似物であり、ジヒドロ葉酸還元酵素に作用して、 葉酸合成を阻害する。
  • 妊娠

病態生理

葉酸が欠乏するとグルタミン酸の合成が抑制され、かわってホルムイミノグルタミン酸 GIGlu の合成が亢進する。

症状

症状はビタミンB12 欠乏性巨赤芽球性貧血とほぼ同様であるが、神経症状は見られない。

検査所見

  • 尿中 FIGlu 排泄亢進

治療

葉酸の経口投与を行なう。


↑ トップページ → 血液学 目次