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血液学 33 悪性リンパ腫 malignant lymphoma

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→ 血液学 目次

Chapter 33 悪性リンパ腫 malignant lymphoma

典拠:Concise Pathology [13, p.444] ,
典拠:病理学 [42, p.495] ,
典拠:医学生・研修医 のための血液病学 [45, p.164] ,
典拠:エッセンシャル血液病学 5 版 [54, p.167] ,
典拠:組織病理アトラス [71, p.462] ,
典拠:三輪 - 血液病学 2版 [50, p.1115] ,
典拠:NIM 血液病学 4 版 [48, p.213] ,
典拠:血液内科学 1 版 [59, p.282] ,
典拠:血液細胞アトラス 4 版 [65, p.234]

概念

リンパ組織における腫瘤形成を主体としたリンパ球の悪性腫瘍であり、母地となるリンパ組織にはリンパ節とリンパ節外がある。
なお悪性リンパ腫はリンパ球の成熟過程で発生する腫瘍であり、幹細胞から分化する過程において未熟なままで発生する腫瘍は急性リンパ性白血病となる。
30 才以下の若年者に多い。

分類

主に病理学的特徴からホジキン病と非ホジキン病に大別されてきた。

  • ホジキン型
    由来は今だ不明であるが、ほとんどがリンパ節に発症し、リンパ節にそって連続性に進展する。好発年齢は若年者と高齢者の二峰性を示す。日本では悪性リンパ腫に占める割合は非常に低い。
    • リンパ球優勢型 lymphocyte predominant
    • 結節性硬化型 nodular sclerosis
    • 混合型 mixed cellularity
    • リンパ球減少型 lymphocyte depleted
  • 非ホジキン型
    高齢者に多い。ただし小児では非ホジキン型が悪性リンパ腫の 9 割を占める。予後を規定する因子としては臨床像よりも病理組織像が重要であり、これにしたがって治療方針が決定される。
    • 濾胞性 follicular type
      • 中細胞型
      • 混合型
      • 大細胞型
    • びまん性 diffuse type
      リンパ節の濾胞構造が消失する。
      • 小細胞型:小リンパ球類似のもの
      • 中細胞型:核が血管内皮細胞の核よりも小さいもの
      • 混合型:
      • 大細胞型: 核が血管内皮細胞の核よりも大きいもの
      • 多型細胞型
      • リンパ芽球型
      • burkitt 型 burkitt’s lymphoma
  • その他のリンパ腫
    • 皮膚T細胞性リンパ腫 cutaneous T cell lymphoma, CTCL
    • MALT リンパ腫

Ann Arbor の病期分類

ガリウムシンチが利用される。

  • stage I:一つのリンパ節への侵襲
  • stage II:横隔膜の一方の側の複数のリンパ節への侵襲
  • stage III:横隔膜上下にわたる複数のリンパ節領域への侵襲
  • stage IV:リンパ節以外の臓器への病変のびまん性浸潤。

以上に加えて、全身症状がないものを A 型、体重減少・発熱・盗汗などの 全身症状を伴なうのものを B 型とする。
I 期から II 期にかけては外科的切除や放射線療法を行ない、III 期以降では化学療法を行なう。

症状

初発症状は表在性のリンパ節腫脹を主訴とすることが多い。

  • 無痛性のリンパ節腫大
  • B 症状
    発熱・盗汗・体重減少など、B 型に該当するような全身症状をいう。

検査所見

  • ガリウムシンチで集積する
  • 単純 CT 所見
    • sandwitch sign
      腫瘍が柔らかいので腫大したリンパ節によって血管が挟まれるも 閉塞や狭窄を来たさないもの。
  • リンパ管造影
    風船様腫大や泡沫様陰影欠損を示すが、特異性は低い。

合併症

  • 骨転移
    本症は前立腺癌とともに骨硬化性病変を形成する代表的な悪性腫瘍である。
  • 血球貪食症候群

治療

I 期から II 期にかけては外科的切除や放射線療法を行ない、III 期以降では化学療法を行なうというのが原則である。

  • ホジキン病
    ホジキン病は化学療法によく反応する。ただし初期の段階では病変が限局しているので放射線療法を用いる。
  • 非ホジキン病
    非ホジキン病は病巣が非連続的に進展するので放射線療法には適さない。化学療法については、各種の抗癌剤を組み合わせた多剤併用療法を実施する。

なお予後を規定する因子は、1) 血清 LDH 高値 2) 節外性病変の存在 3) 病期 4) 年齢が 60 歳以上 などである。

33.1 ホジキン病 Hodgkin’s disease, HD

典拠:Essentials Radiologic Imaging. 7ed [11, p.1121] ,
典拠:Burdette:Cancer.1ed [3, p.190] ,
典拠:病態生理できった内科学:血液疾患 2 版 [47, p.133] ,
典拠:Beck:Hematology [1, p.421] ,
典拠:組織病理アトラス [71, p.471] ,
典拠:Harrison11 [7, p.1555] ,
典拠:Concise Pathology [13, p.455] ,
典拠:医学生・研修医のための血液病学 [45, p.164] ,
典拠:エッセンシャル血液病学 [53, p.241] ,
典拠:三輪 - 血液病学 2版 [50, p.1135]

概念

ほとんどがリンパ節に発生し、リンパ節にそって連続性に進展する悪性リンパ腫である。由来は今だ不明であるが、近年、その起源は B細胞性と考えられている。
組織像で必ず Reed-Sternberg cell やホジキン細胞が見られ、炎症症状と免疫不全症状を特徴とする。

  • 基本的にリンパ節に発生する腫瘍である
  • リンパ流に沿ってリンパ組織の病巣が連続する
    ただし急性では非連続的に病巣が起こりうる。
  • 好酸球増多症

分類

  • 臨床病期分類
  • Rye 分類
    近年の多剤併用療法の発展により、Rye 分類は予後と相関しなくなってきている。
    • リンパ球優勢型 lymphocyte predominant
      背景に小リンパ球が多数存在する。予後良好。
    • 結節性硬化型 nodular sclerosis
      線維によって病変が結節状に分画される。RS細胞の変種である 窩内細胞 lacunar cell が特徴。ホジキン病の初期病変と考えられ、予後良好。
    • 混合型 mixed cellularity
      もっとも代表的な組織型であり、RS 細胞が多数見られる。
    • リンパ球減少型 lymphocyte depleted
      病変部にリンパ球が著しく少なく、かわって線維化が顕著。予後不良である。

病因

原因は不明であるが、約半数の腫瘍細胞中に EBV ウイルスのゲノムが発見されており、病因への関与が疑われている。

症状

  • 無痛性の頸部リンパ節腫脹

検査所見

  • 好酸球増多症
    腫瘍細胞が産生する IL-5 が好酸球の増殖を刺激するから。
  • LDH 高値
  • 表面マーカー
    • CD30 陽性
      CD30 はある種のサイトカインの受容体であり、ホジキン病の増殖様式になんらかの関与をしていると考えられている。

合併症

  • 膜性腎症

病理所見

  • 背景のリンパ球には異形成がない
    背景のリンパ球は腫瘍細胞である RS細胞が分泌する種々のサイトカインに反応して集まってきた正常リンパ球であると考えられている。
  • Reed-Sternberg cell, RS と hodgkin 細胞
    なお近年 RS細胞に EBウイルスのゲノムが発見されている。

治療

ホジキン病は化学療法によく反応する。

  • 放射線療法
    初期の段階では病変が限局しているので放射線療法を用いる。
  • 化学療法
    • MOPP 療法
      アルキル化剤、ビンクリスチン、ステロイド剤、プロカルバジンの多剤併用療法。
    • ABVD 療法
      adriamycin, bleomycin, vinblastin, dacarbazine の多剤併用療法であ り、ホジキン病に対する近年もっとも標準的な化学療法である。

33.2 非ホジキンリンパ腫 Non-Hodgkin’s lymphoma, NHL

典拠:Burdette: Cancer.1ed [3, p.184] ,
典拠:Concise Pathology [13, p.444] ,
典拠:三輪:血液病学 2 版 [50, p.1149] ,
典拠:組織病理アトラス [71, p.462] ,
典拠:血液内科学 1 版 [59, p.283] ,
典拠:エッセンシャル血液病学 5 版 [54, p.176]

概念

ホジキン病以外の悪性リンパ腫の総称である。リンパ球に由来する点はホジキン病と同じであるが、リンパ節からも節外からも発症し、病変が非連続性に進展する。ホジキン病よりも予後が悪いことが多い。なお日本では欧米と異なり、ホジキン型よりも非ホジキン型の方が多い。
大部分はホジキン病と異なり、T あるいは B 細胞に由来していることが判明している。その多くは B細胞由来である。Sezary 症候群や菌状息肉症も T細胞起源であることが判明しており、非ホジキン型悪性リンパ腫として扱われることもある。

特徴

  • リンパ芽球型以外はすべて成熟したリンパ球に由来する
  • リンパ節以外にもしばしば転移する

病因

特定の染色体転座がいくつか報告されている。特に免疫グロブリン遺伝子や T細胞受容体遺伝子の再構成に関して生じるものが多い。
染色体 8q24 上の c-MYC 遺伝子や染色体 11q13 上の cyclin D1、染色体 18q21 上の BCL-2 遺伝子などが、染色体 14q32 上の免疫グロブリン重鎖 (IgH) 遺伝子内にあるエンハンサー配列近傍に転座し、その結果、これらの 遺伝子の転写が活性化されると考えられている。

分類

本症は、ホジキン病の場合と異なり、病期分類よりも組織分類のほうが治療方針の決定に重要となる。なぜならば本症では進行様式がホジキン病ほど規則的ではないからである。

  • LSG 分類
    LSG 分類では増殖パターンと腫瘍細胞の大きさの観点から分類する。
    • 濾胞性 follicular type
      B細胞由来であり、正常のリンパ濾胞構成細胞に類似し、結節を形成して増生する。t(14:18) が多い。
      • 中細胞型
      • 混合型
      • 大細胞型
    • びまん性 diffuse type
      結節を作らずにびまん性に増殖し、リンパ節の濾胞構造が消失したもの。濾胞性よりも予後不良で要治療となる。
      • 小細胞型:小リンパ球類似のもの 成熟した細胞がびまん性に単調に浸潤する。
      • 中細胞型: 核が血管内皮細胞の核よりも小さいもの
      • 混合型:
      • 大細胞型: 核が血管内皮細胞の核よりも大きいもの
      • 多型細胞型
      • リンパ芽球型
        非ホジキン病のなかではこれだけが未熟なリンパ球に由来する。
      • Burkitt 型 Burkitt’s lymphoma
        幼弱な Bリンパ球が腫瘍化したもので、EBウイルス感染が原因となる。
  • 国際分類 Working Formulation
    リンパ腫の臨床的な自然歴を考慮した形態分類であり、現在もっとも広く利用されている。診断は HE 染色で分類可能である。
    • low grade
    • intermediate grade
    • high grade
  • REAL-WHO 分類
    リンパ系腫瘍の分化・成熟レベルと疾患単位を指向した分類である。 診断には種々の検査を要する。
  • 亜型
    • 皮膚T細胞性リンパ腫 cutaneous T cell lymphoma
      病変部にポートリエ微小膿瘍 Pautrier’s microabscess を形成する。
    • MALT リンパ腫

症状

ワルダイエル咽頭輪、特に口蓋扁桃に初発することが多い。

検査所見

  • LDH 高値
    予後と相関する。

病理所見

ホジキン病と異なり、背景のリンパ球が異型性に富む。

治療

病巣が非連続的に進展するので放射線療法には適さない。予後を規定する 主な因子は、年齢・LDH 値・一般状態・病期・節外性病変である。

  • 化学療法
    各種の抗癌剤を組み合わせた多剤併用療法を実施する。
    • CHOP 療法 cyclophosphamide, adriamycin, vincristine, prednisone の多剤併用療法である。アドリアマイシンは強力な心筋障害の服用作用があるため、8 サイクルで終了させる。ただし予後不良群に対しては G-CSF や自家抹消幹細胞移植を併用することで投与量を増加させる。
  • 骨髄移植
    化学療法に抵抗性の場合や再発時に適応となる。
    特に若年者に好発する中枢神経浸潤を来たしやすい高悪性度群に対しては、急性リンパ性白血病に準じた治療方針が設定され、第一寛解期における骨髄移植を併用した全身の放射線照射ならびに大量化学療法が適応となる。
  • 放射線療法

33.2.1 バーキットリンパ腫 Burkitt’s lymphoma, BL

典拠:Medical Microbiology [10, p.406] ,
典拠:ヒトの分子遺伝学 [29, p.489] ,
典拠:新興再興感染症 1 版 [52, p.58] ,
典拠:Manson:TropicalDisease.20ed [4, p.541] ,
典拠:三輪: 血液病学 2 版 [50, p.1177] ,
典拠:Lange: Basic Clinical Immunology.8ed [9, p.92] ,
典拠: Paul: Fundamental Immunology.4ed [28, p.164]

概念

幼弱な B リンパ球が腫瘍化したものであり、EB ウイルス感染が原因と考えられている。

病因

  • 染色体転座 t(8:14)
    8 番染色体の c-myc 遺伝子が 14 番染色体の免疫グロブリン重鎖近傍に転座されると、もともと Bリンパ球では免疫グロブリンの発現が亢進しているため、高率に転写活性が高まってガン化する。また転座の際に c-myc 遺伝子の上流にある制御領域が欠落することも転写活性の亢進に寄与している。

病態生理

  • Bリンパ球幼若化
    EBウイルスのある種のものは B細胞に感染してこれにトランスフォーメーションを生じさせる。トランスフォーメーションを起こさせるようなタイプはもともと抗原性が強いが、免疫不全宿主では細胞性免疫によってこれを排除することができない。さらに gp42 タンパクが HLA-DR に結合すると、宿主細胞による抗原提示を阻害する。

33.2.2 皮膚T細胞性リンパ腫 cutaneous T cell lymphoma, CTCL

典拠:Concise Pathology [13, p.895] ,
典拠:組織病理アトラス [71, p.331,p.471] ,
典拠:医学生・研修医のための血液病学 [45, p.184] ,
典拠:エッセンシャル血液病学 [53, p.269]

概念

皮膚原発の節外性リンパ腫の特殊型である。成熟した CD4+の抹消性ヘルパーT細胞が活性化されて腫瘍化する抹消性T細胞リンパ腫をいう。

分類

  • Sezary 症候群
    抹消血中にセザリー細胞が出現する。
  • 菌状息肉症 mycosis fungoides
    皮膚に原発する T細胞リンパ腫であり、紅斑症として発症する。

病理所見

  • 病変部にポートリエ微小膿瘍 Pautrier’s microabscess を形成

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