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medical praxis - web版 医学ノート - 国家試験対策

学問の上で大いに忌むべきは、したり止めたりである。したり止めたりであれば、ついに成就することはない。

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血液学 35 血栓性疾患

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→ 血液学 目次

Chapter 35 血栓性疾患

典拠: 医学生・研修医のための血液病学 [45, p.217]

定義

原因

血栓症の分類

  • 先天性血栓性疾患
  • 後天性血栓性疾患

35.1 先天性血栓性疾患

35.1.1 凝固阻止系とその異常

典拠:Beck:Hematology [1, p.596] ,
典拠:HematologyNMS [2, p.241] ,
典拠:標準生理学 [74, p.455]

凝固阻止系

  • 生理的凝固阻止因子
    • プロテイン C protein C
      抗凝固作用を持ったビタミン K 依存性タンパク。トロンビンおよび血管内皮細胞に存在するトロンボモジュリンの作用によって活性化され、プロテイン S と結合してタンパク分解を行なう。
      • Va 因子や VIIIa 因子を不活化して凝固系を阻害する。
      • PAI-1 が tPA を不活化するのを阻害し、線溶系を促進する。
    • プロテイン S
      活性型プロテイン C に結合し、凝固系の VIII 因子および V 因子を分解し、その作用を失活させる。
    • アンチトロンビン III antithrombin III
      トロンビンや凝固カスケードで働く他のセリンプロテアーゼの活 性を阻害する。特に Xa 因子ならびにトロンビンを中和する。ヘパリンとともに働くと効果が激増する。
  • 後天的凝固阻止因子
    • 抗凝固阻止抗体
      先天性凝固異常症に対して欠損因子を補充した療法のあとに出現する抗体。補充した因子の活性を阻害する。

凝固阻止系の異常

  • 先天性アンチトロンビン III 欠乏症
  • 先天性プロテイン S 異常症 protein-S deficiency
  • 先天性プロテイン C 異常症 protein-C deficiency

アンチトロンビン III antithrombin III,ATIII

典拠: 病態生理できった内科学:血液疾患 2 版 [47, p.177]

概念

代表的な凝固阻止因子であり、肝臓が合成の場となる。トロンビンや凝固 カスケードで働く他のセリンプロテアーゼの活性を阻害する。特にXa 因子 ならびにトロンビンを中和する。ヘパリンとともに働くと効果が激増する。

35.1.2 先天性アンチトロンビン III 欠乏症 antithrombin deficiency

典拠:Beck:Hematology [1, p.597] ,
典拠:Harper [27, p.725] ,
典拠:医学生・研修医の ための血液病学 [45, p.217] ,
典拠:図説分子病態学 [40, p.267]

概念

アンチトロンビン III の欠乏や異常によって凝固系の亢進して静脈血栓を多発する、常染色体優性遺伝病である。

  • アンチトロンビン III antithrombin III の生理作用
    ATIII は、トロンビンや凝固カスケードで働く他のセリンプロテアー ゼの活性を阻害する。特にトロンビン、Xa 因子、IXa 因子を直接に阻害して凝固系を制御する。

症状

  • 反復性の静脈性血栓
  • 肺塞栓症

治療

ワーファリンの経口投与を行なう。

35.1.3 先天性プロテイン S 異常症 protein-S deficiency

典拠:Beck:Hematology [1, p.597] ,
典拠:エッセンシャル血液病学 5 版 [54, p.254]

概念

先天的にプロテイン S を欠く常染色体優性の遺伝病である。

病態生理

プロテイン S の生理的機能は、活性型プロテイン C に結合し、凝固系の VIII 因子および V 因子を分解し、その作用を失活させる点にある。先天的にプロテイン S を欠く本症では凝固能の亢進によって血栓症を来たしやすい。

35.1.4 先天性プロテイン C 異常症 protein-C deficiency

典拠:Beck:Hematology [1, p.597] ,
典拠:図説分子病態学 [40, p.270]

プロテイン C の生理作用

トロンビンおよび血管内皮細胞に存在するトロンボモジュリンの作用によって活性化され、タンパク分解能を獲得する。

  • 凝固系への阻害作用
    プロテイン C を活性化する原因となったトロンビンはそもそも凝固系 を促進させる因子であるから、トロンビンによるプロテイン C の活性化は凝固系における負のフィードバック機構である。
    • Va 因子の不活化
    • VIIIa 因子の不活化
  • 線溶系への作用
    プロテイン C はプロテイン S とともに働いて、PAI-1 が tPA を不活化するのを阻害し、線溶系の促進に寄与する。

症状

静脈性の血栓症。

35.2 後天性血栓性疾患

種類

  • 抗リン脂質抗体症候群
  • 自己免疫疾患
    • SLE
    • ベーチェット病
    • 潰瘍性大腸炎
  • 内分泌疾患
    • 糖尿病
    • クッシング症候群
    • 高脂血症
  • DIC
  • 血液疾患
    • TTP

35.2.1 抗リン脂質抗体症候群 antiphospholipid syndrome, APS

典拠:Beck:Hematology [1, p.592] ,
典拠:NIM 血液病学 4 版 [48, p.270] ,
典拠:最新 内科学大全:血小板・凝固・線溶異常 [38, p.339] ,
典拠: 医学生・研修医のための血液病学 [45, p.211] ,
典拠: 三輪 - 血液病学 2版 [50, p.1340] ,
典拠: エッセンシャル血液病学 [53, p.378]

概念

SLE などの自己免疫疾患において血栓症や血小板減少などを合併した症候群。血液凝固系においてリン脂質を必要とする反応 (外因性凝固系) を阻害するにもかかわらず、不思議なことに出血傾向ではなく血栓形成が促進される。

病理

  • 血栓の多発
  • 血小板減少

症状

  • 動静脈血栓
  • 習慣流産

検査所見

  • lupus anticoagulant とよばれる抗リン脂質抗体の証明
    lupus anticoagulant は個々の凝固因子活性を抑制することなく、リン脂質依存性の凝固反応を阻害する免疫グロブリン。しかし臨床的には予想される出血傾向よりも血栓形成を主症状とする。
  • 抗カルジオリピン抗体の証明
    カルジオリピン cardiolipin とは酵素抗体法で抗リン脂質抗体の抗原に用いられる物質。
  • プロトロンビン時間の延長
    リン脂質との抗原抗体反応によって外因性凝固系が阻害されるから。

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