medical praxis - web版 医学ノート - 国家試験対策

学問の上で大いに忌むべきは、したり止めたりである。したり止めたりであれば、ついに成就することはない。

スポンサードリンク

血液学 4 造血 hematopoiesis

スポンサードリンク

→ 血液学 目次

Chapter 4 造血 hematopoiesis

典拠: Harrison13 [8, p.1714]

発生における造血

  • 一次造血
    • 卵黄嚢造血
      胎生 2 週間ほどで始まり、ほとんどが赤芽球産生で、エリスロポエチン非依存性である。
  • 二次造血
    • 胎児肝造血
      新たにうまれた造血肝細胞が肝臓に移動して赤血球を主体として造血する。
    • 骨髄造血
      骨髄においては造血細胞は間葉系の細胞であるストローマ細胞を造血の場として、増殖・分化する。

分化の系列

多能性幹細胞 stem cell

CD34・HLA-DR が発現する。

  • リンパ系幹細胞
    • T細胞への分化
      プロT細胞
    • B細胞への分化
  • 骨髄系幹細胞
    CD33 が発現する。
    • 顆粒系への分化
    • 赤血球への分化
    • 血小板への分化
    • 肥満細胞への分化
    • 破骨細胞への分化

成長因子

  • SCF
    myeloid growth factor 共同して顆粒球・単球・マクロファージの増殖と分化を促進する。IL-3 と GM-CSF はさらに巨核球と赤血球の分化にも貢献する。特に好中球を増大させるので、免疫抑制剤と一緒に利用されることが多い。
    • IL-3
      T細胞と肥満細胞だけが産生する。
    • GM-CSF
      特に顆粒系の増殖を促進するため、骨髄移植の際に利用される。骨痛、湿疹、発熱などの副作用を伴う。
    • 顆粒球造血因子 granulocyte-colony stimulating factor, G-CSF 血漿中に測定可能なほどに多く存在し、再生不良性貧血においては好中球の量と反比例する。特に好中球の増殖を促進する。
    • M-CSF
  • エリスロポエチン erythropoietin
    エリスロポエチンは造血組織において赤血球前駆細胞 erythroid progenitor cell 上の受容体に結合し、この細胞の増殖と分化を促進する。

4.1 エリスロポエチン erythropoietin, EPO

典拠: 最新内科学大全:貧血・多血症 [35, p.7]

概念

赤血球産生を調節するホルモンである。エリスロポエチンは造血組織において赤血球前駆細胞 erythroid progenitor cell 上の受容体に結合し、この細胞の増殖と分化を促進する。
胎生期は主に肝臓で産生されるが、生後は腎臓が産生の場となる。これら臓器における低酸素状態が契機となってエリスロポエチンの転写活性が増大する。
臨床的には貧血の治療や術前術後の管理に利用される。これはエリスロポエチンの投与によって内因性の不良なエリスロポエチンの作用が抑制されることとや赤血球産生を正常よりも亢進するからである。
慢性腎不全や真性多血症で減少する。

4.2 赤血球の発生

典拠:エッセンシャル血液病学 [53, p.38] ,
典拠:三輪 - 血液病学 2版 [50, p.25] ,
典拠:Harrison13 [8, p.1717]

特徴

  • 枝分かれせずに直線的に分化する
  • エリスロポエチン単独によってその行程が支配される

行程

  1. 多能性幹細胞 stem cell
  2. 骨髄系細胞
  3. 前期赤芽球前駆細胞 BFU-E
  4. 後期赤芽球前駆細胞 CFU-E,erythroid colony forming unit
    エリスロポエチンの作用を受けて多能性幹細胞から分化する。
  5. 赤芽球 erythroblast
    この時期には表面に iron-transferrin 複合体に対する特別の受容体を有し、ヘモグロビンを合成するための鉄の獲得を行う。
  6. 網赤血球 reticulocyte
    脱核を終えて骨髄を抜けて抹消血に出たばかりの赤血球。24 時間以内 にミトコンドリアとリボゾームを失い、 remodeling を終えて成熟赤血球となる。リボゾームを染めると細胞内で網状に染まるためこのように命名された。したがって赤血球は細胞分裂・タンパク合成・酸化的リン酸化のいずれも行えない。成熟赤血球よりも大型なので、網赤血球が増加すると MCV 値も大きくなり、大球性貧血の指標となる。網赤血球が増加するのは出血や溶血によって赤血球数が減少したことの代償として赤血球産生が亢進した場合である。溶血性貧血で増加し、 造血能の低下する再生不良性貧血などで減少する。
  7. 成熟赤血球

4.2.1 赤芽球 erythroblast

典拠: 病態生理できった内科学:血液疾患 2 版 [47, p.10]

概念

この時期には表面に iron-transferrin 複合体に対する特別の受容体を有し、 ヘモグロビンを合成するための鉄の獲得を行う。正常では骨髄でのみ見られ、末梢血中で見られることはない。

  1. 前赤芽球 pronormoblast
  2. 好塩基性赤芽球 basophilic normoblast
  3. 多染性赤芽球 polychromatophilic normoblast
    ヘモグロビン合成が開始されるため、細胞質内にギムザ染色にてヘモグロビンを表す赤い点が生じる。
  4. 正染性赤芽球 orthochromatophilic normoblast
    成熟赤血球と同等に細胞質が赤く染まり、これ以降は分裂しない。

4.2.2 網赤血球, 網状赤血球 reticulocyte

典拠:エッセンシャル血液病学 5 版 [54, p.11] ,
典拠:三輪 - 血液病学 2版 [50, p.93] ,
典拠: 血液細胞アトラス 4 版 [65, p.28]

概念

脱核を終えて骨髄を抜けて抹消血に出たばかりの赤血球をいう。24 時間以内にミトコンドリアとリボゾームを失い、 末梢血にて remodeling を終えて成熟赤血球となる。リボゾームを染めると細胞内で網状に染まるためこ のように命名された。成熟赤血球よりも大型なので、網赤血球が増加すると大球性貧血を呈して MCV 値が大きくなる。
網赤血球が増加するのは出血や溶血によって赤血球数が減少したことの代償として赤血球産生が亢進した場合である。したがって溶血性貧血や出血など造血能が保たれている貧血で増加し、造血能の低下する再生不良性貧血や腎性貧血・鉄欠乏性貧血では減少する。
基準値は 0.3~1.1[%] である。

4.3 顆粒球の分化

骨髄単球系幹細胞

骨髄系幹細胞から分化し、CD13 が発現する。

  • 骨髄芽球 myeloblast
    CSF の作用を受けて、幹細胞から分化する。円形の核、繊細な核網、 明るく抜ける核小体、淡青色の細胞質、少数のアズール顆粒 (ほとんどない)。
    • 前骨髄球 promyelocyte
      アズール顆粒増加、細胞質は淡青~青で、核網はやや粗くなり、偏在した核を持ち、胞体が豊か。
    • 骨髄球 myelocyte
      全体として小さく、丸い核のなかに粗な核網をもつ。細胞質は好塩基性を失ない、アズール顆粒よりも淡い好中顆粒が出現する。
    • 後骨髄球 metamyelocyte くびれた腎臓形の核を持つ。これ以降は分裂しない。
    • 多核白血球
      • 好中球
      • 好酸球
        2分節が多く、大きめの顆粒を持つ
      • 好塩基球
        大きく暗青紫色の顆粒を持ち、核の上にも顆粒があるために 核の形が不明確。

単芽球

  • 前単球
  • 単球

4.4 リンパ球の分化

リンパ系幹細胞

  • 前前駆B細胞
    これは ALL の代表的な抗原である CD10 が発現する。CD19 が発現する。
    • 前駆B細胞
      CD20 が発現する。
    • 成熟B細胞
      細胞質内に免疫グロブリンが出現する。
    • 形質細胞 plasma cell
      細胞膜上に免疫グロブリンが表出する。形態上は核の偏位と空胞が見られる。
  • 前胸腺細胞
    CD7 が発現する。
    • common 胸腺細胞
      CD2 が発現する。
      • 成熟T細胞 (helper T)
        CD4 が発現する。
      • 成熟T細胞 (cytotoxic T)
        CD8 が発現する。

骨髄において

  • プロT細胞 pro T cell
    CD3 の遺伝子発現が起こり、原形質内に CD3 分子が合成される。胸腺に侵入する。

胸腺において

未熟な T 細胞は胸腺の皮質に局在し、成熟するにつれて髄質へと移行する。

  • プレT細胞 pre T cell
    T細胞受容体遺伝子の再構成は生じているが、いまだ細胞表面に表出していない。
  • 未熟T細胞
    CD4 と CD8 がどちらも表出されている。T細胞受容体が細胞表面に表出される。ここで正の選択が生じる。
  • 成熟胸腺細胞 mature thymocyte
    CD4 と CD8 の一方のみが表面に表出し、TCR の発現も高い。やがて胸腺を離れて抹消に出る。

抹消において

  • 成熟T細胞
    抗原感作を受けて CTL, Th1, Th2 のいずれかに分化する。

4.5 骨髄 bone marrow

典拠: エッセンシャル血液病学 5 版 [54, p.6]

概念

加齢とともに脂肪髄が増加する。

構造

  • 赤色髄
    造血の場となる。
  • 黄色髄
    ほとんどが脂肪細胞で占められる。

↑ トップページ → 血液学 目次