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肝胆膵 21 肝腫瘍

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→ 肝胆膵系 目次

Chapter 21 肝腫瘍

典拠:Diagnosis And Treatment In Gastroenterology [10, p.598]

原発性肝ガン

  • 肝細胞癌 hepatocellular carcinoma
  • 胆管細胞癌 cholangiocarcinoma
  • 肝細胞癌と胆管細胞癌の混合
  • 肝芽腫 hepatoblastoma

転移性悪性腫瘍

良性腫瘍および腫瘍様病変

  • 肝細胞腺腫 liver cell adenoma
  • 限局性結節性過形成 focal nodular hyperplasia
  • 腺腫様過形成 adenomatous hyperplasia
  • 結節性再生性過形成 nodular regenerative hyperplasia
  • 炎症性偽腫瘍 inflammatory pseudotumor

21.1 原発性肝臓癌

分類

  • 肝細胞癌
    原発性肝ガンの約 9 割を占める。
  • 胆管細胞癌
  • 肝芽腫 hepatoblastoma

21.1.1 肝細胞癌 hepatic cell carcinoma,hepatoma, HCC

典拠:標準外科学 8 版 [84, p.602] ,
典拠:NIM 消化器病学 4版 [60, p.462] ,
典拠:組織病理アトラス [82, p.136] ,
典拠:Diagnosis And Treatment In Gastroenterology [10, p.598],
典拠:癌の病理組織アトラス [68, p.107] ,
典拠:最新内科学大全:肝癌 [35, p.185]

概念

肝細胞由来の悪性腫瘍である。主として肝動脈に血行支配され、門脈浸潤性が高いため、肺転移や骨転移が多い。

  • 肝硬変に合併することが多い
  • 腫瘍随伴症状をきたすことが多い
  • 多中心性発癌
    肝硬変などの素地の上に出現するため、原発性でありながら多発する ことが多い。

経門脈的にまず肝内に広がり、血行性に肺転移や骨転移をおこすことが多い。

分類

  • 肉眼分類
    • 結節型
      最多である。
    • 塊状型
    • びまん型
  • 肝細胞癌の組織分類
    • 偽腺管型
      様々な大きさの腺管構造を呈する。
    • 索状型
      腫瘍細胞は内皮細胞のならぶ血管腔によって分けられて、索状構造を呈する。リピオドールによる肝動脈塞栓術が奏効しやすい。
    • 充実型
      腫瘍細胞が充実性に増殖し、間質としての血管腔が少なくなった もの。
    • 硬化型
      腫瘍細胞索が大量の線維によって取り囲まれた構造を呈する。
    • fibrolamellar type
      腫瘍内に強い層状の線維化があり、血清タンパクが胞体内に見られる pale body が特徴となる。
  • 肝細胞癌の細胞異型度分類 Edmondson 分類
    • grade I
      高分化型であって正常の肝細胞に著しく類似し、偽腺管を形成する。
    • grade II
      索状構造を形成する。
    • grade III
      索状構造が不明瞭で充実型に似る。
    • grade IV
      異型性が強く、充実型を呈する。

病因

  • 肝炎ウイルス
    日本では 9 割以上が C型肝炎ウイルスまたは B型を合併しており、なかでも C型肝炎ウイルスによるものが最多である。
    • C型肝炎ウイルス
      C型肝炎ウイルスが体液を介して感染する。高頻度 (50%以上) に 慢性化を起こし、発症後約 20 年を経て肝硬変、肝細胞癌へと至 る。HCV による肝細胞癌は近年増加傾向にある。
    • B型肝炎ウイルス そもそも肝細胞への DNA 組み込みは B型肝炎ウイルスの生活環には関係しておらず、癌組織においても HBV の複製は認められ ていない。しかしながら HBV キャリアの頻度と肝癌の発生頻度はほぼ一致している。また HBV-DNA が持続的に検出されるほど肝細胞癌の合併率が高い。
  • アルコール多飲
  • 毒性物質

病態生理

  • 門脈浸潤
    腫瘍が門脈に進展すると門脈内に腫瘍栓を形成し、門脈圧亢進症を来 たす。
    • メデューサの頭
      門脈の閉塞が生じると、門脈血は umbilical portion から umbilical vein の再開通が生じ、このときに臍の周辺の皮静脈が放射状に拡張する。
  • 肝細胞癌破裂
    表面にある腫瘍は大きさに関係なく破裂することがあり、腹腔内に出血を来たして急性腹症を呈する。TAE が第 1 選択の治療となる。

検査所見

  • 臨床検査
    • 逸脱酵素
      AST, ALT がともに上昇し、 AST/ALT 比が上昇する。
    • 血小板増多
  • 腫瘍マーカー
    • AFP
      肝硬変においても増加するが、肝細胞癌の場合には量が多い。特別な糖鎖 L3 を持つため、特に L3 分画が上昇する。ただし小肝細胞癌は高分化型なので AFP は低値を示す点に注意。
    • PIVKA-II,Protein induced by vitamine K absence
      ビタミン K 不足の際に増加する異常プロトロンビンである。
  • 画像検査
    • 腹部エコー
      • 辺縁低エコー thin halo
        腫瘍を囲む被膜が低エコー帯として描出される。
      • bull’s eye
        周辺に halo を持った高エコー像として描出される。
      • モザイク・パターン mosaic pattern
      • 側方音響陰影 lateral acoustic shadow
    • 単純 CT 所見
      低吸収域を示すほか、被膜に包まれたモザイク・パターンを呈するなどが特徴である。
    • dynamic CT
      造影剤を静注して経時的に染色動態を観察する方法であり、肝細胞癌の診断に必須である。
      • high-low pattern
        HCC は肝動脈によって栄養されているため、動脈相で高吸収域 early enhancement となり、門脈相では被膜に覆われたモ ザイク模様の低吸収域となるという特徴を持つ。なお門脈相で腫瘍部位が低吸収域に見えるのは、もともと肝臓が主に肝動脈よりも門脈によって支配されているために、腫瘍周囲が高吸収域となるからである。
    • 肝動脈造影, 選択的腹腔動脈造影
      腹腔動脈を選択的に造影すると、腫瘍周辺には豊富な血管が増生しているため、動脈相が濃染され、capillary phase では濃染像 tumor stain が見られる。
      • 腫瘍血管像 hypervascular mass
      • 腫瘍濃染像 tumor staining
      • radiolucent rim
        実質相にて腫瘍濃染を囲む曲線状の透亮像をいい、特異性の高い所見である。
      • 肝動脈門脈瘻 A-P shunt
      • threads and streaks sign
        門脈内に腫瘍が進展した場合に腫瘍を栄養する細動脈が拡張 して糸束状に映る。
    • MRI 所見
      肝細胞癌を含め肝腫瘍では一般的に、T1 強調で低信号を、T2 強調で高信号を呈する。

治療

  • 外科的切除 腫瘍が単発性であり、肝機能が維持されていることを ICG などで事前に確認する必要がある。
    • 区域切除
    • 肝葉切除
    • 拡大肝葉切除
  • 非観血的治療
    • 経皮的エタノール局注療法 PEIT
      エタノールはタンパクを凝固する作用をもつため、エコーで確認 しながらエタノールを腫瘍領域に注入する。3cm で 3 個以下が適応となる。肝内転移がある場合も奏功しやすく、根治的である。
    • マイクロ波壊死凝固療法 MCT
      局所の根治性がほぼ完全である。適応は 2cm 以下の手術非適応症例である。
    • 経カテーテル肝動脈塞栓術 transcatheter hepatic arterial em- bolization,TAE
      カテーテルを肝動脈内に挿入し、リピオドールや塞栓物質によって肝動脈を塞栓するものである。 正常な肝細胞は肝動脈と門脈の双方から血行支配を受けるが、肝細胞癌はほとんど肝動脈から血液を供給されるという性質を持つ。 したがって肝動脈を閉塞すれば腫瘍細胞のみを壊死させることができるという考えに基づいている。ただし肝内転移がある場合は奏功しにくい。 このような特性から、その適応は門脈血流が保たれていることが不可欠である。
    • 選択的肝動脈内抗癌剤注入療法

肝細胞癌破裂

概念

表面にある肝細胞癌は大きさに関係なく破裂することがあり、腹腔内に出血を来たして急性腹症を呈する。

症状

  • 急性腹症
  • 出血性ショック

検査所見

  • 腹腔穿刺
    血性腹水を証明する。

治療

経カテーテル肝動脈塞栓術 TAE が第 1 選択の治療となる。

21.1.2 胆管細胞癌 cholangiocarcinoma,cholangiocellular car- cinoma,CCC

典拠:Morning Report [27, p.292] ,
典拠:組織病理アトラス [82, p.137] ,
典拠:Diagnosis And Treatment In Gastroenterology [10, p.611] ,
典拠:NIM 消化器病学 4版 [60, p.473] ,
典拠:ハリソン内科学 [6, p.1515] ,
典拠:NEW 外科学 2 版 [64, p.624] ,
典拠:最新 内科学大系:肝癌 [35, p.213]

概念

肝臓内の胆管細胞に由来する上皮性悪性腫瘍である。組織型は消化管の悪性腫瘍と同じく、高分化腺癌である。 肝細胞癌と異なり、単発性で肝硬変を伴わないので肝予備能が高いという特徴を持つ。しかし胆管やリンパ行性に転移しやすいため、HCC よりも予後不良である。

分類

  • 肝内胆管癌
    • 肝門型
      総胆管に生じたもので、黄疸を主症状とする。
    • 末梢型
      肝内胆管に生じたもので、上腹部痛を主症状とする。
  • 嚢胞性腺癌 cystadenocarcinoma
    嚢胞壁が癌化した腺癌であるが極めて稀である。

原因

病因は不明である。

  • 肝疾患
    • 肝内結石
    • 原発性硬化性胆管炎
    • 肝吸虫症
  • 炎症性腸疾患
    特に潰瘍性大腸炎に合併しやすい。
  • 胆道系疾患
    先天性胆管異常に合併する。

検査所見

  • 胆道系酵素の上昇
    ALP, LAP, γ-GPT などが高値となる。
  • 腫瘍マーカー
    CA19-9, CEA などの腺癌の腫瘍マーカーが上昇する。
  • 造影CT 所見
    動脈相 hypovascular かつ門脈相で造影される。
  • ERCP 所見
    胆管の途絶とそれより上流の胆管の拡張が見られる。

病理所見

  • 高分化の腺癌で、腺腔構造を形成する
  • 間質には線維化が起こる

治療

  • 外科的切除
    ただし遠隔転移およびリンパ節転移が多いため、切除率は肝細胞癌に 劣る。

21.1.3 肝芽腫 hepatoblastoma

典拠:標準外科学 8 版 [84, p.746] ,
典拠:Diagnosis And Treatment In Gastroenterology [10, p.611] ,
典拠:最新内科学大系:肝癌 [35, p.237] ,
典拠:NEW 外科学 2 版 [64, p.766],
典拠:標準小児外科学 3版 [91, p.215]

概念

乳幼児に多く見られる肝悪性腫瘍で、右葉に好発する。転移先としては肺が多い。予後規定因子は、外科的切除の可否と転移の有無である。

症状

肝腫大のみを主症状とすることが多い。

検査所見

  • 腫瘍マーカー
    AFP がほぼ全例で異常高値を示す。
  • 肝機能異常
    AST および ALT が軽度上昇を示す。

治療

肝硬変を母地としないので切除可能な例が多い。

  • 外科的切除
    肝区域に基づいた肝切除を行なう。占拠部位・腫瘍の大きさなどで切除の可否が分れ、切除例では予後良好だが、切除不可だと極めて予後不良となる。

21.2 転移性肝腫瘍, 転移性肝癌 metastatic liver cancer

典拠:Diagnosis And Treatment In Gastroenterology [10, p.622] ,
典拠:標準外科学 8 版[84, p.603] ,
典拠:NEW 外科学 2 版 [64, p.624] ,
典拠:新臨床外科学 3 版 [67, p.607]

概念

血行性による肝臓への転移であり、肝腫瘍のなかで最多である。転移経路は経門脈性・経リンパ行性・経動脈性がある。経門脈性は消化器癌が多く、経リンパ行性は胆嚢などの隣接臓器が多く、経動脈性は乳癌などの消化器以外の癌が多い。日本では胃ガンが原発巣であることが多い。

検査所見

原発性肝ガンと異なり、血管増生に乏しく、AFP は上昇しないといった特徴を持つ。

  • 腫瘍マーカー
    原発性肝ガンと異なり AFP は上昇しない。
    • 5”-nucleotid phosphodiesterase isozyme-V
      もともとは核酸の phosphodiester を加水分解してアルコールと 5”-ヌクレオチドに遊離させる核酸分解酵素であり、その第 5 分画が腫瘍マーカーとして優れている。転移性肝癌での感受性は CEA を上回る。
  • 単純CT 所見
    LDA として描出されるのは原発性と同じであるが、造影剤で増強さ れない。原発巣が大腸癌である場合はしばしば腫瘤内部に石灰化を伴なう。
  • 造影 CT 所見
    • リング状
  • 腹部エコー
    多発性で様々なエコーパターンを呈するが、高エコーで結節形成を示 すことが多い。

治療

  • 外科療法
    • 肝切除術
      原則として肝臓以外に転移がなく、原発巣が根治的に切除されており、肝病巣が切除可能なほどに限局しているならば、肝切除の 適応となる。特に大腸癌を原発巣とした転移性肝癌は積極的に外 科的切除を施される傾向にある。

21.3 肝臓の良性腫瘍

典拠:Diagnosis And Treatment In Gastroenterology [10, p.617] ,
典拠:NIM 消化器病学 4 版 [60, p.532] ,
典拠:アトラス肝臓病 1 版 [73, p.99]

種類

  • 肝血管腫 hepatic hemangioma
    肝臓の良性腫瘍の中でもっとも頻度が高い。超音波検査では高エコー 像を示す。内部は溶血塊として明瞭でない。水分貯留のため T2 では腫瘤として増強される。
    • Kasabach-Merritt 症候群
      血管腫が巨大な場合に腫瘍内に血栓を形成して DIC を招いたも の。血小板の寿命を短縮して血小板減少症 thrombocytopenia を 招く。
  • 肝細胞腺腫 liver cell adenoma
    女性に多く、経口避妊薬が発症に関係すると言われる。
  • 限局性結節性過形成 focal nodular hyperplasia, FNH
    女性に多く (経口避妊薬と関係)、肝硬変を伴わない肝臓の周辺部に表 在性に単発する。繊維性被膜を持たず、内部に低密度領域がある。肝細胞癌との鑑別は病理診断によることが多い。
  • 腺腫様過形成 adenomatous hyperplasia
    小肝細胞癌と似ているので鑑別を要する。
  • 肝嚢胞 liver cyst
    造影しても染まらない。

治療

圧迫症状がある場合や癌との鑑別が必要な場合に限って手術適応となる。通常は経過観察となる。

21.3.1 肝嚢胞 liver cyst,hepatic cyst

典拠:Diagnosis And Treatment In Gastroenterology [10, p.517] ,
典拠:NIM 消化器病学 4版 [60, p.541]

分類

  • 寄生虫性
    包虫症に続発する。
  • 非寄生虫性
    ほとんどが先天性である。

症状

大きくなって周囲臓器を圧迫するまでは無症状である。

検査所見

  • 腹部エコー所見
    しばしばエコーのみで診断可能である。
    • posterior enhancement
      腫瘤の内部は均一な無エコーパターンであり、後方に音響増強を 伴なう。
  • 単純CT 所見
    境界明瞭で内部均一な低吸収域の腫瘤影として映る。
  • MRI
    内部は水なので T1強調で低信号、T2強調で高信号に映る。肝血管腫 との鑑別を要する。

21.3.2 肝血管腫 hepatic hemangioma

典拠:標準外科学 8 版 [84, p.601] ,
典拠:Diagnosis And Treatment In Gastroenterology [10, p.617] ,
典拠:Essentials Radiologic Imaging.7ed [11, p.515] ,
典拠:医学生・研修医 のための消化器病学 [57, p.285] ,
典拠:腹部画像診断学 1 版 [89, p.35]

概念

血管に富んだ間葉性腫瘍であり、肝臓の良性腫瘍の中でもっとも頻度が高い。なかでも海綿状血管腫 cavernous hemangioma が最多である。肝細胞癌と同様に血管に富むが、肝細胞癌が肝動脈に栄養されるのに対して、肝血管腫は門脈に栄養される点が特徴的である。右葉に好発する。

  • Kasabach-Merritt 症候群
    血管腫が巨大な場合に腫瘍内に血栓を形成して DIC を招いたもの。 血小板の寿命を短縮して血小板減少症を招く。

症状

多くは無症状であり、腫瘤が増大すると肝腫大として触知される。

検査所見

  • 腹部エコー所見
    全体として辺縁が線状に増強される marginal strong echo と呼ばれる高エコー像を呈し、内部は溶血塊として明瞭でない。
  • 腹部 CT 所見
    単純CT にて肝細胞癌よりも境界明瞭な低吸収域として描出されるが、 両者はしばしば鑑別困難である。造影CT にて早期相で強く濃染されるが、6分後の後期相でも肝実質よりも濃染される (遅延性濃染)。
  • 血管造影所見
    • 綿花状 cotton wool appearance
      動脈相から毛細血管相にかけて、腫瘍内に造影剤が斑状に貯留 pooling している所見である。
  • 造影CT 所見
    肝細胞癌とは逆に、動脈相で低濃度かつ門脈相で濃染されるため、両者の鑑別に有用である。
    • complete fill-in
      動脈相では低吸収だが門脈相に移るにつれて徐々に腫瘍の辺縁より高吸収域に転じ、最終的に腫瘤が全て高吸収域に置換される(tumor stain)。
  • MRI 所見
    水分貯留のため T2 では高信号の腫瘤として著明に増強される。肝嚢 胞との鑑別を要する。

治療

基本的に良性で無症状であるので治療を要さないが、直径 10cm 以上の巨大な腫瘤は出血の恐れがあるため手術適応となる。

肝海綿状血管腫 cavernous hemangioma

典拠:Diagnosis And Treatment In Gastroenterology [10, p.617,p.225] ,
典拠:NEW 外科学 2 版 [64, p.618] ,
典拠:NIM 消化器病学 4版 [60, p.534]

概念

腫瘍の発育には女性ホルモンが関与しており、成人女性に多い。

症状

多くは無症状である。

  • 肝腫大

検査所見

なお肝生検は大出血の危険があるので本症では禁忌である。

  • 腹部エコー所見
    全体として辺縁が線状に増強される marginal strong echo と呼ばれる高エコー像を呈し、内部は溶血塊として明瞭でない。
  • 血管造影所見
    • 綿花状 cotton wool appearance
      動脈相から毛細血管相にかけて、腫瘍内に造影剤が斑状に貯留 pooling している所見である。

合併症

  • Kasabach-Merritt 症候群
    血管腫が巨大な場合に腫瘍内に血栓を形成して DIC を招いたもの。

治療

巨大なものや圧迫症状が出現したものは肝切除の適応となる。

21.3.3 肝細胞腺腫 liver cell adenoma,LCA

典拠:標準外科学 8 版 [84, p.601] ,
典拠:Diagnosis And Treatment In Gastroenterology [10, p.613]

概念

女性に多く、経口避妊薬が発症に関係すると言われる。悪性化の傾向を持つ。破裂で出血を来たしやすい。

病因

  • 経口避妊薬によるエストロゲン摂取
  • 糖原病 I 型

21.3.4 限局性結節性過形成 focal nodular hyperplasia, FNH

典拠:Diagnosis And Treatment In Gastroenterology [10, p.613] ,
典拠:NEW 外科学 2 版 [64, p.619] ,
典拠:アトラス肝臓病 1 版 [73, p.120] ,
典拠:腹部画像診断学 1 版 [89,p.30]

概念

女性に多く (経口避妊薬と関係)、肝硬変を伴わない肝臓の周辺部に表在性に単発する。肝細胞癌との鑑別は病理診断によることが多い。

検査所見

本症ではクッパー細胞が存在するため、シンチグラムにて 99mTc フチン酸 の取り込みが認められ、確定診断となる。

  • 腹部 CT 所見
    • 中心瘢痕 central scar
      繊維性被膜を持たず、内部に低密度領域がある。中心瘢痕は造影 にて遅延性の濃染を呈する。
  • 血管造影所見
    • 車軸状 spoked-wheel appearance
      太い栄養血管が腫瘍中心に到達したあと、抹消に向かって放射状 に分岐する像である。
  • 肝生検
    肝細胞癌との鑑別に必要である。

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